サーファーの日常は非日常
サーファーが見ている日常の中の景色は、慣れすぎてしまっているがあまり、その景色の非日常さに気づくことなく、ただ、いい波に乗りたいという単純な欲望を満たすことや、そこで会う人々と過ごすということに終始することが多い。自分自身もかつてそうだった。別にそれ自体、全く何も悪いことじゃないし、当たり前の話だ。
2009年に子供の誕生とともに、成長記録のために、普通のデジカメでいいところを全くの素人ながらNikon D5000を買っていた。
そして、時は何年も流れ、ある日、先輩サーファーの影響から、U-skeさんの存在を知り、U-skeさんの国内外の海の写真から、いつも見ているはずなのに、それまで気付かなかった自然の魅力を感じさせてもらった。そしていつしか、使いこなせないNikon D5000をサーフィンのたびに持ち出すようになった。
それがいつしか、全く何も気にもならなかったサーフィンを通しての自分自身の日常でも、サーフィンの無いライフスタイルでは感じることのできない、とてつもなく美しい時間が流れてるということに気づいた。
その中でも、朝日が昇る前後のマジックアワーに心を奪われた。
それからは、いい波に乗りたいという欲望と、普通のサーファーでも見ることができる非日常を切り取りたいという欲望のマインドセットで、夜明け前の海に向かうようになった。
言い方は、カッコつけようと思ってカッコつけてるけど、言ってることは本心だし、偽りは何もない。
僕が今言っていることを理解してくれるサーファーは、そうでない人よりも多いと思う。
サーファーは、得してる。
スキルの高さに関係なく、波に乗ることで、得られるものは数多く存在すると言い切れる。
朝日の断片が見えかけ、完全に円形として姿を現わすまでは、ほんの数分の出来事。
このひとときを目にすると、いろいろなことは思ったよりも、早く進んでて、それに気づかず、いつの間にか人生の幕を閉じてしまうんじゃないかと思ったりもする。
2016.11.12 太平洋ロングビーチにて