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子育て世代の秘密基地「勝川STAND」

未来はこども達のためにある。であるならば、僕たち子育て世代がポジティブに生きる必要がある。

中川政七商店に学ぶ、経営とデザインの幸せな関係

本屋に行くと、現在の悩みを解消してくれそうな本を探すのですが、最近はそんなモードが強くて漁りすぎたのか、なかなか出会うことができません。

 

そんななか、どハマりするタイトルの本と出会いました。 

経営とデザインの幸せな関係

経営とデザインの幸せな関係

 

 

以前、仲良しのデザイナーさんから中川政七商店の話を聞いてました。HASAMIの話も聞いてました。HASAMIは僕の好きなこちらのお店でも使用してます。

愛知県津島市にあるカフェ・OVER COFFEE(オーバーコーヒー)です。

overcoffee-cs.com

 

その時は、へ〜、ぐらいで思ってましたが、それから意識の中にその名前があるようになって、生活のなかで目にするようになったりして、その日はなぜか本書含め複数の中川政七商店関連の書籍が目に入りました。なかでもタイトルがなんだか今知りたいことが盛りだくさんのようだったし、最新刊だったので、こちらを購入しました。

 

自分のなかでの前評判がかなり高まって、読み始めましたが、結構、期待しすぎた感がありましたというのが率直な感想です。新しい聞いたことのないような話が出てくるのかと思っていましたが、SWOTや4P、4Cなどのような類の初歩的なこと多かった印象です。でも、そのようなことを何度も勉強すること自体はなにも悪いことではなく、自分自身あくまで頭に入れてるだけで、実行に移せている部分は少ないので、問題はありません。実際、メモしたワードは結構な量がありました。

 

本書は規模の大きな企業を相手にしておらず、あくまで物づくりをしている中小企業向けのブランディング×デザイン×経営の教科書となっております。

 

経営者であれば経営のことは詳しいけど、クリエイティブに関しての理解は低い。逆にデザイナーは経営への理解は低い。それが結果的に不幸な関係を生むことに繋がってしまうため、双方が経営とクリエイティブのリテラシーを高め、お互いが理解し合える共通言語を持つ必要があると説いています。

 

著者は中川政七商店の第13代社長である中川淳さん。

www.yu-nakagawa.co.jp

 

「 日本の工芸を元気にする!」というビジョンのもと、業界特化の経営コンサルティングも行っており、そこでの経験談が多くを占めていました。そのなかで印象的だったのが、コンサルを依頼する会社の経営者の多くが、自社のことをよくわかっていないということでした。強みや弱みについて、その依頼会社がすでに把握できているケースは少ないということ。これは中川さんに限らず、経営コンサルタントのみなさんが感じられることなんでしょうか。対象が違いますが、電通さんのコピーライターである梅田悟司さんも「言葉にできるは武器になる」で言われました。自分のことは自分がよくわかっているようで、実は分かっていない。なので、客観視できる外部の存在は必要であると。

 

5部構成となっておりましたが、最終の博報堂ケトルの嶋社長との対談が一番読み応えがありました。以下は嶋社長からのワードが大半です。

 

博報堂ケトル

 

ニーズを探すというのは、どこかで起きている論争を探すと顕在化してくる。AとBとか場合によってはCとかDもあってという状態で、どれでもいいという人はいるし、そういう人のハートを動かすのは難しいのですが、どれかを良いと言っているひとたちは、それが正しいと思っていて、決着をつけたがっている。そういう心理をうまく利用して、イベントを開催したり、ノベルティを開発をして、見込客を優良顧客へと導いていく。

 

文句を言っているひとを見つけるのも新たな市場のニーズを見つけるのに良い方法。博報堂ケトルさんが企画した、現在は多くのひとたちに認知されている本屋大賞。これは直木賞芥川賞などの受賞作品について、本を売る現場の販売員は「なんでこれなの?」みたいなことを思うことがよくあったようです。それは違う言い方にすると、現場の販売員は他に売りたい本があるんだというニーズがあるということ。その気持ちが形になったものが、販売員が選ぶ本屋大賞

 

ビッグデータは既存の欲望を整理整頓する技術であり、結果を集計してマーケティングに活用できるが、先回りして、世の中の新しいニーズを発掘するのは難しい。そのニーズは絶対にあるっていう顕在化したニーズに対応するビジネスは、コモディティ化してしまう。だから、隠れたインサイトに応える商品開発が必要。

 

いいものを作れば売れるわけではない。インサイトを見つけて、その欲望を最大化して初めて売れる。それを実現する企画を素直に考えればいい。

 

消費者インサイトを見つけるのは難しい。 人の気持ちに敏感になって、タウンウォッチングをすることで、観察力や想像力を上げていく。日常の生活がインサイトの宝庫。日々の生活で、何に気づけるのかがすべて。日常の景色は誰でも見てるが、見えている量は人によって違う。疑問や興味を持つことで、見ているものの解像度を上げていき、ストックする。ストックすることの多くは無駄になるけど、どこでどうマッチングして、ワークするかはストックしたときには分からない。

 

20代の頃、現場の最前線でいろんなことを詰めこまれ、それ自体が何が必要か不必要なのかの本質が分からなく、それがだんだん、殆どのことが不必要なことだと思うような気持ちになっていって、プレイヤーとして独り立ちしてからは、その反動で効率的なことばかりを追うようになってしまいました。

 

でも、また36歳になった今思うのは、効率的なことばかり追うことによって失うというか、得られないものが数多くあるんじゃないかということ。ここ最近は業界のトップランナーの情報を意識的に収集するようになっており、そのなかで言われることの多くが、してきたことの多くは無駄なことだったということ。先日の岡康道さんは2勝8敗でいいと言うし、それこそよく言われるのはイチローの打率。本人も「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところに行く唯一の方法。」と言われてましたよね。

 

今このように時間を割いて書いているブログは、得た知識をアウトプットすることでそれを深いインプットにするとか、文字を書く技術を高めるとか、どれかの記事がきっかけで何かが起こるかもという期待とか、何かに繋げるためで、無駄と思ってはやっていませんが、結果的には無駄の積み重ねになっていると思う。

 

ターゲットを絞ることで、最短距離で目標達成できたことも、そうだと錯覚していたことがほとんだと思います。それは結果的には、自分の成長を自分で狭めているだけのことで、レガシーとしては薄いものであったのかと思っています。

 

この本では中川さんというよりも最後の対談の嶋社長にインスパイアされることが多くあった結果ですが、なにがどうこれからの人生で生きてくるのか分かりませんが、これからも今興味を持って進めているものに対して、こつこつとやっていこうと改めて思いました。

 

と書きながら、本書とは関係ない話ですが、楠木建さんが言われてた「努力の娯楽化」という話を思い出しました。今は努力だとはなんとも思ってなくて、楽しんでやれてる。努力と思った時点で終わりかな。これからもインセンティブを拠り所にはしたくない。