勝川STAND

勝川STANDは、個人事業主様・フリーランス・小規模店舗経営者様に、無料ツールを使って、撮影から制作までリーズナブルにクリエイティブを提供します。

和波俊久さんに学ぶ『ビジネスモデル症候群 -なぜ、スタートアップの失敗は繰り返されるのか?』

ここ最近、スタートアップという大それた話ではないが、副業をスタートさせるにあたり、どのようなものが考えられるのか、どのようなことならば出来るのか、答えが出るわけでもないが、頭を悩ませており、書店でこの本を見つけた。 

ビジネスモデル症候群 ~なぜ、スタートアップの失敗は繰り返されるのか?

ビジネスモデル症候群 ~なぜ、スタートアップの失敗は繰り返されるのか?

 

 

起業するとなれば、これまでの既存のビジネスモデルでなく、何か組み合わせも含めて、これまでにない新しいビジネスモデルでなければ、戦うことはできないんだと決めつけています。この認識に特に誤りはないが、それを信じ過ぎると危険だということが語られていた。

 

クラウドサービスやコワーキングスペースなどの普及に伴い、大幅なコストダウンが実現されることで、世界的なスタートアップブームが進んだ。そのような背景から、感覚値として、日本国内においても起業家は増えているんだろうなと思っていたが、日本では起業家は減少しているという事実がある。起業家という狭い世界が、SNSなどのインターネットを通じて、可視化されただけであるというところ。

 

起業にあたって一番注意しなければならないのは、ビジネスモデルというアイデアの中身に、過剰に依存してはいけないということ。リーン・スタートアップという戦略が広く知れ渡っているが、ニーズの存在しないビジネスモデルを信じ込むと失敗する。つまり、目の付け所が悪いのに関わらず、それを信じ、走り続けれても、そこにゴールはない。

 

仮説を許容し、検証を繰り返し、フィードバックを反映すれば、顧客が必要とするビジネスモデルに近づくはずであるが、確証バイアスによって、信念を支持する情報ばかり集め、反証する情報を無視または集めようとしなくなってしまう。すると、確証バイアスに陥っていることに、なかなか気づかないまま、走り続けることになってしまう。

 

自分のバイアスの怖さもあるが、バイアスは集団化で更に強いものにある。バイアスが効きすぎると、真実が見えているのは自分だけだと思うようになり、それに気づいてる自分が素晴らしいんだという錯覚に陥る。アイデアを持つと他人と同じ考えを持てない危険性がある。直感的に手に入れた所謂ヒューリスティックな結論であればあるほど、それは真実である可能性は低いことを理解する必要がある。

 

イデアを持ってしまった瞬間から無意識に確証バイアスに陥るのは仕方ない。思い込みを脱し、真のニーズを掘り当てるまで、経営が継続できれば成功へ近づくことができるが、人は変化を無意識的に拒むもの。一度自分が信じたものを変える勇気を持つことは、非常に難しく、逆のその信じたビジネスモデルという手段自体が目的化してしまう。本来はその手段を持って達成すべき問題があるのにだ。

 

スタートアップは、やらなくてはいけないことをやり切れずに成功することが難しいのではなく、やってはいけないことをやって自滅するパターンが多い。ビジネスモデルの神格化が、ビジネスモデル症候群を招く。ピボットは、オリジナルアイデアからのシフトだけではなく、根本的にアイデアを変えるという選択肢も持つ必要がある。また、創業は再現性を持って成功させれることであり、イノベーションには偶然性が必要で全てを自分たちだけでコントロールすることはできないということを認識する。イノベーションが起きるのは条件が一致するわずかなタイミングに、いかに的確に行動に移せるかという外的要因が大きく関与している。
 
いつでも起業できる環境が整った現代社会。成功談は数多く目にするが、過剰に美化されることが多い。ジョブズが初めて作ったコンピューターはガレージなどで生まれていない。人々が勝手に作り出したストーリーであり、この説は本人から否定されている。人間は、都合のいいエピソードを選択し、それを美化するのが得意だ。
  
成功者は、自分が取り組んでいるテーマに関する情報を常にアップデートしている。起業の目的は一生涯同じではない。よいアイデアができれば、それを実現するための行動が生まれるのではなく、行動するからこそ、アイデアは価値を伴う。直感的に思いついたアイデアヒューリスティック)を信じ込み、アイデアへの賛同者が増えて集団化すると、どんどん視野が狭くなり(バイアス)、やがてなんのために起業したのか分からなくなる(手段の目的化)。
 
パレートが提唱するもので、最小努力の法則というものがある。人は自分の考えを、できるだけ早く確証させたいがために、問題を正しく理解する前に答えを出そうとして、無意識のうちに問題を簡素化してしまい、やがて本質を見失ってしまう。
 
ビジネスを通じて学習を重ねることが、起業という作業であって、知らないことがあると思い続けることが、人間の成長を促す。また、起業とは、経営者という人生を選択すること。自信とは、日々の積み重ねの中からしか生まれない。アイデアで、恐怖を乗り越える自信は得られない。間違った角度で発射されたロケットは、やがて失速するように、方向が正しくないと努力は報われず、モチベーションを失い、失敗する。
 
自分がやりたいことが実現できている状態とはどんな世界で、その状態は何を測定すれば評価できるのかを事前に決めておくことがコンパスを持つということにもなる。ビジネスモデルというアイデアに人生を委ねるのでなく、これから長い時間をかけて終わらない学習を重ねる。
 
人は自らの正当性を維持するために、自分で自分にウソをつく。矛盾する二つの事実を認知した場合、自分にとって不都合な事実を無かったことにしてしまう。手に入らないと分かった時、その悔しさを解消・低減するために、わざとその対象の価値を低める。このような認知的不協和を解消するために、自分を正当化するのでなく、対立するファクトに真正面から対峙する必要がある。
 
 
成功者のほとんどが、いきなりその成功を得たわけではなく、積み重ねた土台があって成功しているということに最近気がついた。その土台は、ほんの数ヶ月ではなく、何年もかけて作り上げている。時々、それを忘れて、成功者はセンスがあるから、自分とは違って、自分にはできないと逃げる。ある部分正解かもしれないが、努力なしで成功したり、ましては一発で成功するなんてことは、宝くじで当てるようなもの。すべてのホールでホールインワン狙うことはできない。
 
和波さんが言われていることは、ビジネスだけではなく、自分にとっては子育てにおいても非常に有効だ。信じることで強くなることもあるが、その信じるものが本当に正しいのかという確信を持つことも非常に難しい。進むべき道は、本当に正しいのか。自分のバイアスがかかっているということを充分認識したうえで、第三者的な側面を意識しながら、複眼的な思考を持つことで、失敗のループから抜け出し、成功率を高めていける。