勝川STAND

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クレイトン・M・クリステンセン『ジョブ理論』でイノベーションを予測可能にする消費のメカニズムを学ぶ

先日、昨年に引き続き、宣伝会議サミットへ参加した。自分自身の方向性が定まってきたこともあって、今年は興味深いセッションがいくつかあった。その中でも印象的だったのはマーケター4人が登壇されていた「顧客と直接つながり関係を育てるデジタル時代のダイレクトマーケティング」において、強烈なインパクトを残していた株式会社インテグレートのCEOである藤田康人さん。

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序盤は他3人に譲り、中盤から一気に存在感のあるスピーチで個人的には、かなり圧倒された。これぐらいのプレゼンテーションを受ければ、顧客は、時間や労力を最小化して意思決定できると感じた。

 

藤田康人さんのス話のなかで、例として本書に書かれていることが挙げられた。

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶブックランキング第3位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶブックランキング第3位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

  • 作者: クレイトン M クリステンセン,タディホール,カレンディロン,デイビッド S ダンカン,依田光江
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2017/08/01
  • メディア: 単行本
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 書店で何度か目にはしていたが、その分厚さや、日本人ではない方が書いたものは、独特の表現が多く、読了まで時間を要すため、避けていた。だが、改めて帯などを見てみると著者クレイトン・M・クリステンセンは「イノベーションのジレンマ」の著者でもあることを知り、ますます読む必要性があると感じた。本書から得た今後の自分にとって必要なことを、備忘録的な側面で、以下にまとめる。

 

何が顧客にその行動を取らせたのかを、真に理解していない限り、賭けに勝てない。大事なのは、プログレスであって、プロダクトではない。それを導くには正しい質問の仕方を知らなければ、何も発見することはできない。イノベーションを賭けから予測可能なものに引き上げるには、因果関係のメカニズムを理解しなければならない。顧客は、プロダクトを購入するのではなく、進歩するために、それらを生活に引き入れる。この進歩をジョブと呼び、そのジョブを解決するために、顧客はそのプロダクトを雇用(ハイア)する。プロダクトを選択する上で、顧客が最も重要視するのは、人生における改善である。その選択で、どのように人生が変わるかを期待する。
 
イノベーションの青写真になる顧客のジョブを理解するためのステップとして、以下の5項目が挙げられていた。
 
ジョブ理論の5ステップ
・その人が成し遂げようとしている進歩は何か
・苦心している状況は何か
・進歩をなし遂げるのを拒む障害物は何か
・不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動をとってないか
・その人にとって、よりよい解決策をもたらす品質の定義は何か、また、その解決策のためにトレードオフしていいものは何か
 
 
ジョブ理論は、市場や競合を定義する方法にも変革をもたらす。ジョブは、同じ業界内での競争だけではない。一見異なるジョブに見えるが、タバコとフェイスブックを雇用する場合の、片付けたいジョブは同じだ。双方ともに、気分転換やリラックスしたいというジョブを片付ける。
 
マーケターは、顧客は進歩を遂げるためにどのような体験を求めているか、どのような障害を取り除かなくてはならないか、そのとき、社会的、感情的、機能的側面について何を考慮すべきかを考える。プロダクトを売るという考え方から、ジョブに応えるという考え方にシフトする。イノベーションの中心にあるのは、顧客ではなく、顧客の片付けるべきジョブである。
 
成し遂げたい進歩は、何をするかではなく、何をしたくないかと考えることも重要。顧客のジョブを見極めるということは、顧客が実際に支払おうとするもの以上に機能を増やしすぎてはいけない。求められていない面を改善しても意味がない。片付けるべきジョブを理解し、それを満たすようにデザインされた商品は、顧客のなかに入り込み、顧客の人生に寄り添う。
 
科学の進歩の多くが、優れた知性の集団が同じことを、同じ道具を使って何年も考え続けたあとに、誰かが持ち込んだ新しい視点によって一気に達成された。また、歴史上大きな成功を収めたイノベーションは、個人の経験と内省から生まれた。マーケターは生活に身近なジョブを探す。顧客は往々にして、自分の望みを明確に言葉にすることができない。自身の体験は、片付けるべきジョブを掘り起こせる豊かな大地となる。片付けるべきジョブを特定する作業に、魔法のアルゴリズムはない。また、データには、確認したい観点に自らを同調させるという悩ましい性質があるため、信用しすぎてはならない。数字で表した定量的なデータの方が、定性的なデータより客観的で信用できると多くの人に思われているが、全てのデータは人間がつくるということを理解し、自分自身の声にも耳を傾ける。
 
どれほど最先端のプロダクトであっても、明確なジョブスペックがないままデザインに移行してしまえば、失敗の可能性が高まる。片付けたいジョブの文脈で、優先順位とのトレードオフをどうするのか。ウーバーは、片付けるべきジョブを完璧に解明し、何のために雇用されるブランドなのかと、ジョブと同義になったブランドになった。プロセスが、顧客の片付けるべきジョブを中心としてつくられていれば、顧客の求める進歩を促し、体験を届けることに最適化されていれば、競争優位の大きな源になる。
 
 
ジョブ理論は、どんな職種であっても理解しておく必要があると感じた。よく聞く「顧客はドリルではなく穴が欲しい」ということにも近いが、顧客がそれを選ぶ時、何が根本にあって、本質的には何が必要なのかをいうことを常に考えなければ、自分本意のわがままなセールスになってしまい、それは結局自分のジョブが中心となり、顧客からの信頼を勝ち取ることはできない。また、顧客が進歩を遂げるのに役立つ体験をどう提供できるかを考え、自分が今無いものであればそれを習得するための努力をする。自分のプロダクトが雇用されるためには、顧客の持つ他のプロダクトを解雇させる必要もある。本書で書かれていたことを頭に入れることは、セールスに関わる全ての人に関係がある内容だ。また、相手の立場に立つという意味では、それはセールスだけに留まらず、子育てにおいてもヒントを得た気がする。子どもが持つジョブとは何か。それも頭に入れてコミュニケーションしていきたい。