勝川STAND

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『お金2.0』で新しい経済のルールと生き方を学ぶ

結論から言うと、いま目の前おきている経済の変化のロジックを知るに最高に有益な本だった。

 

Live Picks

www.houdoukyoku.jp

 

友人にはよく話をするが、このLive Picksが最高におもしろい。News Picksユーザーは周りでも多いし、感度高めの人であれば当然チェックしている。でも、Live Picksの視聴者は、全然聞かない。これほどまでに無料の優良コンテンツはない。時間がないという人は、通勤途中に、音だけでも聞いておくレベルでもいいと思う。

 

Live Picksにも以前登場されていた、メタップス代表取締役の佐藤航陽さんの新しい本が発売となった。 

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

 

 

響きに違和感もあるということでこの『お金2.0』というタイトルになったそう。個人的にも、本屋ですぐ目に留まった。

 

フィンテックビットコイン、シェアリングエコノミー。今、目の前で起きているのはお金や経済の変化で、その背景としては情報のあり方やコミニュケーションのあり方が変ったことが挙げられる。これまでの社会は、お金持ちの子供には機会が与えられ、そうでない子供には選べる道が少なかったが、それさえも変わる。
 
現実社会は、お金、感情、テクノロジーの3つのベクトルが共存し相互に影響しあって未来の方向性を決めており、その中でもお金が引っ張る力が一番強く、次に感情、テクノロジーという順で影響している。どれが一つだけあれば良いのではなく、三つ揃わなければうまく機能しない。
 
私たち人間は、新しいものが出てきた時に、それに似た業界の前提知識があると、その知識に当てはめて新しいものを見てしまう傾向がある。経済は、個人の欲望欲求を起点に動く報酬(インセンティブ)のネットワークであるが故に、偏りが自動的に生じる。人気者が更に人気者になっていく構造も問題だ。繋がりすぎた時代として、経済は常に不確実で、不安定な状態にさらされるようになった。経済とは、人間が関わる活動をうまく回すための仕組みであるが、結果生み出される悲劇の多くは悪人によるものよりも、誤った仕組みが社会に適用されることによって起きることが多い。また、特定の誰かが動き回らないと崩壊してしまうような仕組みでは長く続かないし、世の中に受け入れられない。facebookは、マーク・ザッカーバーグが人を連れてくるのではなく、利用者一人ひとりが、人を呼ぶ仕組みが上手く作られている。
 
新しい経済サービスを生むためには、インセンティブ、リアルタイム、不確実性、ヒエラルキ、コミュニケーションという要素の理解が必要不可欠で、それらの完成度の高さが、そのサービスの成功に大きく寄与する。
 
素晴らしいけど、積極的に参加する気にならないサービスは、インセンティブ設計が欠けている。儲けたい、モテたい、認められたいの3つの欲望は強く、これらを満たすシステムは急速に発展しやすい。状況が変化し、流動的であるということを、参加者に認知させることも重要。不確実性が全くない世界では、想像力を働かせて積極的に何かに取り組む意欲が失われるからだ。
 
この世の中は、数字として把握できるものなど、階層や序列に溢れている。優位なポジションを手に入れた者は、その地位を守ろうとするので、新陳代謝を強制的に促す仕組みを組み込んでおく必要がある。全体が一つであることを認識できるようにするための、参加者が交流しながら互いに助け合ったり議論したりする場もあるほうがいい。
 
寿命があることを前提にして、寿命が来たら別のシステムに参加者が移っていけるような複数の選択肢を用意しておく。参加者が共同の思想を抱いている場合、システムの寿命は飛躍的に伸びる。世界を変えるとは、既にある共同幻想を破壊して、そこに新しい幻想を上書きする行為。
 
脳内の快楽を司る報酬系を理解したサービス開発が有効である。報酬系は欲求が満たされた場合だけではなく、報酬が期待できる状態でも快楽物質を分泌する。金銭的な対価を求めずに経済システムを作ろうとすると、ゲームに近づいていく。モノの魅力は下がっていて、ゲーミフィケーションや、脳の報酬系への理解が経済活動にますます求められる時代になっていく。
 
自然の構造に近いルールほど社会に普及しやすく、かけ離れた仕組みほど悲劇を生みやすい。テクノロジーの変化は点ではなく、線で捉えることが大切で、どの問題を解決するのか原理を正しく理解し、どのような変化を起こすのかといえ現象として理解する。これまでの経済や社会は中央集権化によって秩序を保ってきたが、これからは分散化に向かうだろう。近代社会は、情報の非対称性を前提に作られていたが、もうその前提を基軸にすることはできない。シェアリングエコノミー、トークンエコノミー、評価経済などの新しい経済システムは分散化が起こした流れのひとつであると言える。今後、デジタルネイティブという言葉は言うこと自体がなくなるほど当たり前の社会となり、トークンネイティブという人種が現れるだろう。
 
通常の段階的な進化を踏むことなく、途中の段階をすべて飛び越して一気に最先端の技術に到達してしまうリープフロッグ現象を、世界で目にすることが多くなった。中国のITを取り入れた経済成長は目覚ましい。新しいテクノロジーの発達によって、経済は住む対象ではなく作る対象になった。経済は国家の専売特許ではなくなり、経済そのものの民主化が始まっている。現在起きている変化の元は、グーテンベルク活版印刷を発明して、知識の民主化をしたことがルーツだ。
 
知識がコモディティ化したように、経済の民主化によって、次はお金そのものがコモディティ化する。経済には、消費経済と資産経済があり世の中のお金の流れの9割が資産経済で生まれ、まだ拡大しているという事実がある。これは、お金がお金を生み、お金持ちがお金持ちであり続けているということでもあるが、お金にはならないけど、価値のあるものが存在するというのは多くの現代人が感じている。資本主義が考える価値あるものと、世の中の人が考える価値あるものの間に大きな溝があり、多くの人が違和感を持つようになってきて、価値を保存・交換・測定する手段はお金である必要が無くなりつつある。資本主義から、価値主義へパラダイムシフトが起きている。お金は資本主義経済で使える価値に過ぎない。資本主義経済は有用性としての価値を優先し、内面的な価値、社会的な価値は無視してきたが、確実に変化は起きている。
 
資本主義経済で、お金からお金を増やした金融業と同じく、これからの新しい経済のなかでは、評価から評価をレバレッジとして生み出すことができる。資本主義のなかでは、資本として認識できなかった人間の内面的なものを価値として認識できるようになった。かつて企業は、情報格差や政治的特権を活用して利益を上げることができ、これまではマネーキャピタルが上手い人の時代だったが、これからはソーシャルキャピタルの時代。そして近い将来にやってくるベーシックインカム導入後の人間は、いま私たちが知っている人間とは全く別の生き方をするようになっている。
 
現代人の多くの意思決定の背後には儲かるかどうかという視点が深く関わっている。私たちの脳は、一度常識ができるとその枠組みの中で物事を考えたり、判断するようになってしまい、新しく誕生した技術などをバイアスなしに見るのは難しい。新陳代謝を繰り返しながら世の中は進化を繰り返してきて、これからもそのルールは続く。
 
ミレニアル世代以前は足りていないものが日常的にあって、それを埋めるために必死に頑張るという明確な方向性があった。あらゆるものが満たされた今の世界では、この人生の意義や目的こそが価値になりつつある。今の経済の中で20代、30代が競争するには相当分が悪い。金銭的リターンを第一に考えるほど儲からなくなり、何かに熱中している人ほど結果的に利益を得られるようになる。会社の肩書きに依存していればその人材は代替可能で、逆に自分の価値を高めておけば何とでもなる世界がやってくる。
 
テクノロジーの進化は止めることができない。これからの社会の基軸となる価値をしっかりと見極めていこう。お金は、ただのツールだ。