勝川STAND

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佐渡島庸平さんに学ぶ、現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ

昔から、コミュニティという文脈に対しては興味を持ち続けていた。それは、地域とかそういう意味でのコミュニティであって、佐渡島さんが言われているそれとは少し意味合いが違うけど、コミュニティの重要性は、現代社会においては避けて通れるものではなくなってきている。

 

Facebookも2017年に企業ミッションをこのように変えている。

 

コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する。

 

今回は、佐渡島庸平さんの新刊である「WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ」を読んだ。

  

帯には、よくある誰かの推薦ではなく、こう書いてあります。

 

みんな居場所がない。

 

これを見て、どう思うのか。

僕は結構突き刺さりました。家族がいて、家があって、そういう居場所はあって、すごく幸せなんだけど、その外に出れば、僕の居場所はどこにあるかと思うことはある。さっき言っていた孤独感というのは、スマホが生まれていろんなことが便利になり、1日に享受する情報が爆発的に増え、今まで一握りの人しか知りえなかった情報が簡単に手に入るようになっている。そうすると、ここで生まれるのが情報の格差。以前はみんながテレビを見て、みんなでその話題をしていれば、なんとなく繋がれている感じがあった。でも今は、人それぞれが見ているものが違って、他人との共通の価値観を見出すのに、以前よりも苦労するようになっていて、ハマる時はハマるけど、ハマる確率はかなり下がってるんじゃないかと思ったりしてる。

 

スマホの登場で便利になったことは間違いないが、その一方で、大衆は分断され、その結果、モノの売り方が根本から変わり、より、同じ価値観でつながるコミュニティを作れるのかが、ビジネスにおいて成否を分ける要因になっている。

 

孤独というものは周りに人がいるかではなくて、心のつながりの問題。人は、地域、学校や会社など、意思と関係なくコミュニティに属していて、そのコミュニティに合わせることが一番大きな心理負担になっている。コミュニティが重要であることは、今に始まったわけではなく太古から自明だけど、現代社会においてその重要性が極めて高くなっている。孤独感は、肥満よりも深刻な脅威である可能性があり、社会的インパクトは無視できなくなってきていて、それは若年層でより深刻な状態となっている。社会的なつながりが現代人の最優先事項。人々が参加できるコミュニティをつくることが、メンタルヘルスを保つ一助となる。

 

現代社会におけるコミュニティを考えるとき、「安心」と「安全」がキーワードになる。SnapchatやInstagramのストーリーズなどは、ポリコレが求められ過ぎている今だからこそ、24時間で消えるという軽さが安心感を与えている。学校時代の友人とは、安心安全が確保された場所で、コミュニティ運営がされているから仲が深まる。高度成長期に生きた人々は、核家族の極小コミュニティと会社コミュニティに身を委ねたが、結婚しない、子供を産まない人が増え、終身雇用も崩壊し、以前とはルールが異なる社会においては、それらだけのコミュニテイに身を委ねることでは心は満たされることはない。コミュニティが、安心安全を確保した次に目指すべきは、信頼。信仰ではなく信頼。信仰は無条件で信じ続けることで、そんな独裁的なコミュニティは求められていない。信用とも違う。信用は過去の実績や成果物から評価することで、根拠になるのは過去の実績かもしれないけど、信頼は未来にベクトルが向いている。

 

価値基準そのものにアイデンティティが宿る現代社会において、コミュニティ・マネージャーは今後、何を持っているかではなく、何をやっている、なぜやっている理由が重要となる。安心安全を確保し、リアクション・役割を設計し、自分の物語を語れるようにする。コミュニティを運営することこそ編集。集めて、削って、並べ換えて、補足する。コミュニティの入口のハードルは高くして、出口のハードルは低くすることで、コミュニティの質を保つことができる。コミュニテイを活性化させるためには、人は第一歩が明確に見えないと立ち往生してしまうため、フラットな構造でありながら、ある程度指南し、余白を作っておきながら、共犯者にしてしまう。

 

 

自分の物語を語るうえで、アップデート主義という思考がある。一度で完璧な情報を伝えるのが納品主義で、不完全でもまずは伝達しそこから修正を加えるのがアップデート主義。まずは伝えるというスタートが大事。一回のコミュニケーションを完璧するよりも、不完全でも短いコミュニケーションを何度も繰り返す。情報量が多いことは、意思決定しなければならない量も多くなるため、より簡潔に思いを伝える。言葉が多くなれなればなるほど、理解に時間を要するとともに、その返事や返信も同様に言葉が多くなるもので、そうなれば意思疎通のスピードは遅くなり、結果、コミュニティが活発化することにも遅れが生じる。

 

今は誰が言っているのかがモノを言う時代。ネットの中で実績を積み重ねるほうが、キャリアとして安全。会社に属するかどうか関係なく、人間丸出しで世の中に出ていき、自分はこういう人間であるとネットの世界にさらけ出せるかが勝負。これからは、オリジナリティのある仕事、発想がものをいう仕事、コミュニケーションが重要な仕事、人の心を読む仕事の重要性がさらに高まる。コミュニティを作る興味は無いにしても、どんな人でも何かしらのコミュニティには属して生きていくことにはなるため、このような本で、コミュニティが持つ意味を理解するということは、ほとんどの人にとって有効だと思う。

 

こちらの動画でも佐渡島さんが考えるコミュニティについて、更に理解が深まりました。

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