勝川STAND

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吉田健太郎さん『スマホマーケティング』スマホで変わったのはコミュニケーション領域であることを理解する

僕たちの生活はスマホが登場して劇的な変化を遂げた。スマホは近代社会の大発明。

 

イノベーターを中心に広まり、約10年で今となってはF3M3でも利用されだしてきた。ポストスマホを巡っては、スマートウォッチやVRゴーグルなど様々なテクノロジーが登場しているけど、まだまだスマホの覇権は続くと思う。そんななか、ここで改めてスマホ中心のマーケットについて見識を深めるために、こちらの本を読みました。

 

スマホマーケティング

スマホマーケティング

 

 

僕はセールスプロモーションという文脈のなかで生きている人間で、なかでも紙メディアに寄った企画営業をしておりますが、どんな企画を考えるにしてもカスタマージャーニーのなかで、スマホを経由していないということを想定するのは、ちょっと難しいです。絶対にどこかでスマホから情報を得て、それが意識決定につながっているかと思います。以下、本書を通じて気になったことを備忘録的にまとめさせていただきます。

 

1日の10%はスマホに触れているそうです。スマホによって一人ひとりのワガママが叶えられるようになった。なんですが、スマホ、ポストスマホ時代になっても、生活者の本質は大きく変わらなく、楽で便利な環境に置かれると人はどんな行動を取るのかを掴むことがマーケターにとって重要なこと。

 

多くの人がスマホを持つようになった本質価値は、コミュニケーション領域にあると著者・吉田健太郎さんは説いたのですが、一番なるほど〜と感じました。これを頭に入れておくことで考えるべき方向が定まりやすいと思います。1対1の通話から、1対1がメインのメールに移行し、そして1対Nを当たり前にしたLINE。大事な人と繋がっていられることに加え、常にコミュニティの一員でいられる、仲間と一緒にいる実感が得られる状況に変わった。オウンドメディアでは、自社サービスを網羅的に記載するのが一般的ですが、誠実な対応をしていても、ユーザーからすると情報過多になっているケースが多い。SNSはオウンドメディアよりも情報が少ないけれど、無駄を省き整理されているため、何これ?から、あーそういうことね、までの理解を完結するには十分なツールになっている。言わずもがなですが、ここ日本のSNSはLIFT=LINE Instagram Facebook Twitter が中心に語られることが多い。でも、自分の世代である30代男性でLINE以外のSNSやるのって、4分の1程度という統計がありました。もっとリーチできてると思ってました。

 

情報が爆発し過ぎて、生活者は頭で考えることが必要なスペック情報よりも、感覚で理解できる、自分と近い存在と感じる人の情緒的な情報を好むようになりました。SNSにはリスティング広告がないことも生活者のメリットになる。生活者の多くは使う機能やサービスは決まっていて、各キャリアの容量制限が入ることで、大事なもの、必要なものだけに絞ることを消費者は意識し始めた。スマホは自身による最適化された情報が集まるものになっている。これを筆者は「セルフキュレーション」と呼んでいた。

 

現在、スマホサービスで伸長しているのは、ニュースまとめサービスと、フリマアプリ。スマホはコミュニケーションという土台によって、情報が一人ひとりに最適化して届けられるパーソナルメディア。

 

スマホによって忙しくなった現代人。スマホは暇つぶしではなく、時間吸引装置。スマホでとても忙しくなり、時間が足りなくなった。スマホは、気がついた時には買いたくなって売り場まで案内されている川メディアであり、気がつくとハマっている状態にさせる泥メディアという側面がある。現代においては「自然に耳に入る」よりも「自然と目が止まる」という経験が増えてきている。指は脳での思考を経由せずにクリックすることが多い。自分のスマホには、自分向きの情報で溢れているという意識でスマホに触れていて、言わばスマホは自分専用のインタラクティブな雑誌。それゆえ、情報を発信する側は、やみくもに数多くのメッセージを発信するのではなく、企業が言いたいことを、ターゲットが反応しそうなことに変換して、どこでターゲットに接触するのか、どこでどんな人にどのようにコンタクトを取るのかを十分考えて、アプローチする必要がある。

 

スマホによって、Amazonダッシュを始めとする買い物を高速化するインスタントショッピング、リアル店舗で確認してネットで買うハイブリッドショッピング、それとは逆のネットで情報収集したうえでリアル店舗で買うO2Oショッピングが増えている。自分の目的に応じて無駄を効率化できる世界になった。スマホによって買わずとも分かるような気がする環境が整備されたけど、実際の体験は購入を決める上で非常に重要プロセス。

 

自分に強い意志が無ければ、世の中の評価や声で価値が決まっていく。多くのものが以前より簡単に手に入るようになり、モノの価値が低下した。そういう環境下では、買い物をデザインすることで価値を大きく変化させる必要がある。情報が増えて、興味とのマッチングがされるようになると、逆に購買というアクションのハードルが高まる。簡単に自分の目的達成ができる機会が増えるが、可処分所得が増えていないため、購入を躊躇するという回数は増加する。限定という買うべき理由をつくり、自分にとっての納得感を醸成する。現代人の買う理由は大きく3つある。

 

SNS映え、乗っかり→話題共感型

②後で高く売れるかも→投資回収型

③今だから、最後の1つ→タイミング型

 

接触メディアは多様化したけど、生活者のお財布ボリューム=可処分所得は大きく変化していない。最近では得したいよりも、損したくないという意識が強く働く。どれだけ買いたいをつくり、買いたいを肯定できるかが重要。ごく一部分だけの理解でわかったと感じることが、企業側と生活者の間で大きなギャップになっている。スマホマーケティングでは、気になる→わかる→興味の顕在化を軸に考え、間違いないパーセプションを生むために、興味深い理解を与え、利用シーンの自分ゴト化を想起させるコンテンツ作りをする必要がある。

 

スマホによってデジタルは完全に生活の一部になった。スマホは大事な家族や仲の良い友達とコミュニケーションをすることが中心のもので、とてもプライベートな空間であることを理解し、他のメディアやデバイス以上に生活者との’会話’を意識する。そして、多くの消費者は正しい情報を細かく正確に知りたいわけではなく、生活者の分かりたいのほとんどは分かった気になりたいというニーズなんだと理解する。

 

これから数年も確実にスマホ中心のマーケティングが必要ではあるけれど、これだけ便利になった世の中であるのに、映画の興行収入が減らないのは、リアルに誰かと一緒に見ることや、先行して見ることの価値が高いということを証明していて、デジタルで完結するからこそリアルに経験するということの価値が高くなる。メディアの使い方もデジタルとリアルのバランスを考え、デジタルか紙ではなくデジタルと紙、など一点集中ではないコミュニケーションを心がけて、これからも生活者の変化についていけるよう準備をしていきたい。

 

スマホマーケティング

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