勝川STAND

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『〔エッセンシャル版〕行動経済学』で人間の非合理的な側面を学ぶ

僕は、将来的に店舗経営ということに、強い興味があります。

 

ただ、これまで業界には捉われてはいないものの、プロモーションという文脈のなかでの法人営業という経験しかありません。また、自分自身、身体が強いわけではないので、なるべく先人たちのTipsを効率良く吸収したいという気持ちがあって、書籍を中心に情報を収集をしていたなか、行動経済学に出会いました。

 

それは2017年、セイラー教授がノーベル賞を受賞されたタイミングあたりから、書店でよく目にするようになったのがきっかけだったと思います。そこから、気にはなりながらも、手をつけるには時間がかかってしまい、今年に何となく手にした「行動経済学まんが ヘンテコノミクス」を買ったことから、興味が深くなっていき、今回の本を読みました。

 

〔エッセンシャル版〕行動経済学

〔エッセンシャル版〕行動経済学

 

 

人間は、矛盾を抱える特異な生き物。

 

合理的に物事を判断しているように見えて、実はそうではない全く合理的判断を欠くことが、自分たちの経済活動のなかにある。意思決定は利益とコストの合理計算だけで成り立ってるわけではない。

 

行動経済学は、経済学に社会心理学社会学神経科学、進化生物学などの知見の集合体。料理人であれば包丁の使い方、美容師ならハサミの使い方、大工ならインパクトの使い方のそれぞれを学ぶことと同じように、商売人であるならば行動経済学を学ぶことはマストなんじゃないかと思います。人を相手にするのであれば、人の心理を先読みして選択肢を与え、ある程度、自分の思う絵を描いておけることは、武器になるはず。

 

個人の意思決定には様々な制約があり、それを限定合理性という。合理性は、置かれた状況や場面によって、左右される。インセンティブは、経済分析において基本となる概念で、市場の多くが金銭的インセンティブによって支えられているが、行動経済学的には意思決定はその他にも社会経済的、心理的要因が影響を与えており、非金銭的なモチベーションを生むことがある。

 

インセンティブとモチベーションには、内発的なものと外発的なものがある。時に内発的なモチベーションは、外発的なモチベーションによってグラウディングアウトされることもある。慈善的寄付の動機は、外発的なイメージモチベーションであり、寄付は他者に自分が善良な人間であることをシグナリングする手段。

 

私たちは他の人が自分よりも恵まれていることや、逆に不幸であっても、不平等であるという結果を嫌い、それを不平等回避という。不平等回避には、優位の不平等回避と劣位の不平等回避があり、後者の方が強烈な不満を抱く。意思決定をするとき、集団の平均的な意思決定と思われる社会的参照点を提示されると、自らの消費量をそこに合わせようとする傾向がある。

 

人間は他者を模倣し、群れを形成し、行動をともにしようと思うもので、これをハーディング現象というが、それは規範的要因、情報的要因の二種の要因によって引き起こされる。ハーディングするのは、集団に加わることで安心感を得たいからであるし、慣習に従って間違えるほうが、慣習を破って成功するより評判は傷つかないというメリットがある。ハーディング現象は、迅速な意思決定の手段で、それをヒューリスティックという。

 

選択肢を与えすぎるのは、判断できない状況を生む。現代社会では、選択肢の過負荷は特に深刻で、情報の過負荷がより顕著。しかし、意思決定を急いでする時、持っている情報全てを検討するわけでなく、簡単に手に入る情報に頼り、これを利用可能生ヒューリスティックと言う。人間は目にした情報の最初と最後を記憶しやすく、これを初頭効果と親近効果という。お得な業者がいると分かっていてもスイッチングをなかなかしないのは、先延ばしにしているだけじゃなく、利用可能性ヒューリスティックも作用していて、私たちはすでに知っているものにしがみつく。人は類似性がありそうに見えるというだけで、もっともらしい関連性を見つけてきて、勝手に思い込みを始める。

 

リンダ問題が連言錯誤の証明(リンダ問題が初耳の人は、是非調べてみてください)。代表的ヒューリスティックを使って、もともと持っている筋書や固定観念に判断を合わせる。新たな情報に接しても従来の考えを修正しないのは代表的ヒューリスティックが強いタイプ。参照点を現在に置くことが多いのは、現在の状況を変えるのを避けたがる傾向があり、現状維持バイアスという。企業や政策立案者は、現状維持バイアスを利用して私たちの意思決定を操る。

 

入手するすべての情報に基づいて選択するのではなく、すぐに入手できる情報をもとに選択し、利得よりも損失を過大に評価する損失回避性があり、期待する効用が最も高い選択肢を選ぶ。その意思決定多くはは、今という参照点からの変化に基づいている。また、たとえ報酬が大きくなると言われても、今すぐにもらえる報酬を好む現在バイアス。現在の誘惑に抗うのは難しい。

 

お金はいつ、どこで使うかに関わらず、全く同じ価値がある代替可能物とは認識されていない。宝クジの当選金と、働いて稼いだお金とは違う。メンタルアカウンティングが働くということは、経済的意思決定に対する評価が状況に左右されることを示す。なぜ人が長期的に自らの利益を最大化する行動が取れないのかは重要な課題。

 

何かを決めかねているとき、感情が決定打になることがあり、感情ヒューリスティックと呼ばれる。ヒューリスティックは迅速に意思決定するためのルールであり、優れた判断にも、失敗の原因ともなり得る。衝動的な感情的反応は、狩猟採集時代には生存に重要な役割を果たした。特に認知能力にあまり自信がない人は、感情に頼る傾向がある。また、ストレスを感じている熱い状態のほうが、感情や直感的要因に圧倒される。人間は生まれつき楽観的に考える傾向があり、社会の持つ空気感も意思決定に影響を及ぼす。

 

人は、現状維持を好む傾向があるため、デフォルトオプションをうまく使うべき。デフォルトオプションを最適な選択だとシグナルが受け取るのかもしれない。スイッチングを避ける傾向があるがあるのも、現状維持バイアスの影響。スイッチングを促すには社会平均を提示し、社会的ナッジを効果的に使う。逆に平均より低いひとは平均値に上げる傾向もあり、総数として変化がないこともあるため、目的に合わせてナッジを効果的に使う。

 

行動経済学は人間の持つクセみたいなものが集約されている。そのクセの多くが合理的な判断を欠いて、ある意味間違っていると自分で気付いているにも関わらず、意思決定をしているようなもの。本書を通じて、人間は基本的に面倒がとにかく嫌いで、合ってる間違ってる関係なく、早く、そして簡単に意思決定をできることを望む生き物であるということを学んだ。引き続き、行動経済学について、学びを深めていこう。

 

〔エッセンシャル版〕行動経済学

〔エッセンシャル版〕行動経済学