勝川STAND

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今日から使える”すごい手口”が満載『電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。』

広告、まじウザい。
 
見たくて見る人なんて、業界の人だけで、見なくて済むものならそうしたい人がほとんだけど、モノやコトを売る側は、作ったものをどうしてもみんなに知って欲しいから、なにかしら広告を打つ。それで知ってもらって、購買に動かしたい。
 
 
そうするには、商品ありきの広告ではなくて、お客様の購買行動を起点に売り方を考えていく「ショッパーマーケティング」が必要となる。それはつまり、買いたい空気をつくるみたいなこと。モノに溢れ、情報洪水の現代社会においては、広告はただのノイズで、シャットアウトされるものとなり、テレビCMどーん、商品を売り場にどーん、というかつて正攻法と言われたものは効かなくなった。
 
そんなマーケターにとって厳しい時代に、買わなきゃと思わせるメソッドが、ビール片手に読めるくらいのライトなテイストで”すごい手口”が公開されているのがこちらの本です。
電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。

電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。

 

 

タイトルの意味が分かるような、分からないような。

 

スタッドレスタイヤを売れるようにするには、プロモーションでがんばって得られる効果よりも、その年、めっちゃ雪が降るのが一番高い効果が得られる。だから、電通さん、プロモーションより雪降らせちゃってよという意味。スタッドレスタイヤに関わらず、このようなコントロールができない二次的要素に振り回されることは、どんな商品、業界でもあると思います。

 
言わずもがな、いくら電通さんでも雪を降らすコトは絶対に無理なんですが、行動経済学や心理学、脳科学を使って、その不可能を同等の効果に近づけることができます。んなもん聞いたことはあるし、やってるわと思うものもあるかもしれませんが、個人的に頭に残しておきたいことを、備忘録的に以下に挙げさせていただきます。店舗の設計もそうだし、ダイレクトメールやチラシでも、結構身近なプロモーションメディアに使えると思います。
 
 
よくある手法ですが「時限」は効果的。なにか気に入った商品であっても、これ今買う必要あるか?と購買を思い留まることってあるかと思います。買いたくても、今買う理由を与えて欲しい。そういう迷ってるひとには非常に有効。
 
偶然性の創出。たまたま入ったお店で、たまたま覗いたオンラインショップで、たまたまタイムセールがやってて、買ってしまったという経験はありませんか。これは偶然遭遇したチャンスを生かしたいということ。そして、そのチャンスを生かしました!と自慢したいという欲が深まり拡散する。
 
開示という手口。安ければなんでも良いわけではない。逆に安すぎても、なんでそんな安いの?と警戒してしまう。ただ安ければいいのではなく、安さの理由を説明する必要がある。売り手にとってネガティブな理由であっても、それが安さに通じていると分かれば、理解をしたうえで安心して購買することができる。このような正直マーケティングの効果は高い。
 
段階的値引きでお得感をより一層与える。これはテレビショッピングでよく目にするかと思いますが、行動経済学的にアンカリングという手口です。ひとは一度価格を提示されると、それをベースに物事を考える。通常価格が10,000円のところ、今ならなんと8,000円と言われるだけで、売り手はもともと8,000円で売るつもりであったはずなだけなのに、お得感を与えることができる。
 
雑さが与えるお得感。綺麗に棚に陳列しているのと、雑にワゴンに入れているのとで、同じ価格であっても後者のほうが売れることがある。これは雑に置いてあるものは安いと感じさせるヒューリスティックによるもの。
 
売れ行きを可視化して、他の買い物客の存在で購買を煽り、品切れの伝え方も巧みに操る。品数で飢餓を創出することや、その飢餓の放置をすることで購買を煽る。行列は最高のスパイスになる。いつでも食べれる手に入るようになれば、同じように美味いとは感じなくなる。再入荷というコピーで飢餓開けをアピールすることも効果大。
 
買い物客目線の共感を示す買い文句でアプローチする。競合のアイテムが気になっている場合、まずはその競合のアイテムを褒める。それは選択肢に入れたお客様を褒めることと同義の行為。その上で自社の優位性を説く。基本的に、売る人の言うことは信じてもらえず、買った人の言うことは信じられる。売り手色を消して、あの人が言っているから間違いないとどう思わせるれるか。
 
などなど、今日から使える手口がたくさん紹介されていました。人は何度も接触すると、よく知っている→気になる存在に→ちょっと好きかもと心理が変化していくと言われ、テレビCMどーん、商品を売り場にどーんという手法で経済を回してきた。また、昭和の買い物は圧倒的に情報が少なかったため、買うまでの判断が早く済んだ。この超情報化社会においては、製品のサービスではなく、ユーザーの経験価値を重きに置いてアプローチする必要がある。そして、例に挙げられる行動経済学に基づいた手口を学ぶことの重要性が増々高まっている。人は、ゼロからプラスよりもマイナスからゼロの行動を優先させるということや、群れをなしたがるというハーディング現象、必ず何かを参照するアンカリングなど、行動経済学にはモノやコトを売るためのヒントが多く含まれる。
 
義務的な感情に支配された広告は、他人の家に許可なく土足で入り込む超迷惑なウザいもの。
 
マーケターは常にお客さんと
同視点に立っているか、売りつけていないか、ファンを増やすかを考える。モノを売ることがカッコ悪くなってしまい、それを手伝うことはもっとカッコ悪い世の中になりつつある。広告を作る側は、その仕事を通じて、社会にどういった変化をもたらせたいか。そんなことを考えて、買い手の共感を獲得していこう。

 

電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。

電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。