勝川STAND

勝川STANDは、個人事業主様・フリーランス・小規模店舗経営者様に、無料ツールを使って、撮影から制作までリーズナブルにクリエイティブを提供します。

カスタマーサクセスが収益を生む新時代のビジネスモデル『サブスクリプション』について学ぶ

 サブスクリプションと聞いて、みなさんはどのサービスを思い浮かべますか。

 

音楽が好きであれば「Spotify」、映画好きなら「Netflix」、クリエイターなら「Adobe」、意識高ければ「NewsPicks 」。ライフスタイルで思い浮かぶものが異なると思いますが、徐々に僕たちの生活のなかに自然と入り込んできていることを実感します。

 

サブスクリプションというビジネスモデルは、現代社会で生き残るためのひとつのキーワードであり、理解をせずに商売を続けるというのは益々難しくなるのかなと思うようになりました。テクノロジーの進化によって、顧客のライフスタイルが変わり、モノの売り切り型ビジネスのニーズは下降傾向にある。これは求められているものが変わったということ。ビジネスの大小関わらず、サブスクリプションについては一定の理解が必要であると日々感じる中、こちらの本を読みました。

サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

 

 著者はセールスフォース創業初期のメンバーで、サブスクリプション・エコノミーの到来を逸早く予見し、サブスクリプションのモデル変革・収益向上を提供するZuora立ち上げたティエン・ツォさん。

 

これからのビジネスは、特定の顧客のウォンツとニーズに着目して、継続的な価値をもたらすサービスを創造する必要がある。顧客をサブスクライバーに変えて、定期収益を得る構造を築くことが一番重要で「プロダクトファースト、カスタマーセカンド」という思考を逆転させ、顧客の成功=カスタマーサクセスを最大の目的とする。

 

テクノロジーの変化によって顧客志向は変化し、関心も、支払いも、所有から利用へと移行し、サブスクリプション・エコノミーが爆発的に拡大しているのが現在で、過去の120年はプロダクトエコノミーとも言える。企業はようやく顧客を理解し始め、顧客一人ひとりが異なる顔を持つことを認識し、その認識のうえにビジネスを構築して成功している。

 

顧客がお金を支払う対象は、モノの所有よりも結果を得ることにシフトしてきた。そして、あらゆるものが標準化されたものではなく、カスタマイズされたものが選ばれるようになってきている。企業は、計画的陳腐化という自分たちの都合で市場をコントロールするよりも、絶えざる改善で売り上げを向上させなければ生き残ってはいけない。

 

買うことは、余計なものを増やすことと同義になりつつある。顧客は指先で操作でき、即座に実現して継続的に利用できるサービスを求めている。デジタル世界の破壊者たちは、誰にそれを売っているのかを理解し、セグメントに分けることなく、一人ひとりのサブスクライバーと向き合ってビジネスをし、デジタルユーザーエクスペリエンスを改善し続けていることで、デジタル・サブスクリプションが急増している。

 

よく小売業が死んだと言われるけれど、それは間違い。あくまで死んだのはお粗末なリアル店舗。また、Eコマース vs リアル店舗という二分法も間違っている。店舗は商品を売るため、顧客は商品を買うために存在しているという思考は危険。スマホの戦場は契約者の奪い合いではなく、ユーザーマネタイズへ移行していて、AppleはPhoneの出荷台数を気にしなくていい体質作りのために、自社製品を顧客にサービス提供するための手段とみなす傾向を強めている。

 

多くの企業が加入者との関係性マネジメントに失敗し、顧客無視のゾンビビジネスモデルを続けている。顧客の不満が光速で拡散される今、顧客が自社との関係をやめることを邪魔してはいけない。すべての発想を、製品からでなく顧客から始め、ビジネスマインドセットを変える必要がある。

 

新しいビジネスモデルは、きまぐれな広告に依存するものではなく、安定した定期購読収入に立脚するものになる。サブスクリプション化できないものはなく、IoTによって益々加速し、効率性追求のステージを超えて、可能性追求のステージに入る。製造会社がIoT企業に変身すれば、重い産業機器と軽いデジタルサービスの区別は意味を失い、スマートやコネクティッドということが当たり前になり、それらの形容詞は使われなくなる。IoTによって顧客を再発見することができる。所有という概念は死に、今後はアクセスが新たな課題となり、自動車業界は個々の物理的なやり取りではなく、全体をカバーするサービスへと進化する。これまでは車を販売後、システムに繋がっていないため、カスタマーエクスペリエンスが断片化していて、カスタマージャーニーが見えてこなかった。移動という手段は日常生活にシームレスに埋め込まれた直感的なサービスへと急速に進化している。

 

プロダクトよりも、サービスに焦点を当てる戦略が真っ当であると言える。顧客ファーストではなく、製品ファーストでモノが売れたのは、消費者が受け身だったから。誰もが即座に手のひらから情報を発信できる時代においては、今日のブランド価値は、広告ではなく、経験を通して伝えられるようになった。また、One to One マーケティングがメインストリームになり、サブスクリプションがそれをより良く実現する。口コミがインターネットで威力を増し、ストーリーテリングの重要性が認識されるようになった。かつてマーケティングがこれほどエキサイティングな時代は無かった。

 

商品を顧客に移転させてしまえば終わりだったビジネスは、今後は長期に渡って継続する関係を結ぶことが重要となる。販売数を増やし、値段を上げ、コストを下げることで成長してきたが、サブスクリプションビジネスでは、より多くの顧客を獲得し、顧客価値を高め、顧客を出来る限り長くつなぎとめる必要がある。サブスクリプション文化とは、サービスを使ってくれている顧客に成功してもらうことであり、それを自社の収益に変換すること。かつて、私たちは知っている人から物を買っていたが、産業革命で消滅し、計画的陳腐化、大量の売れ残り廃棄物、モノを所有するという概念をそぎ落として大きく姿を変えてサブスクリプション・エコノミーとなって戻ってきた。

 

 

いつでも顧客の側に契約を断ち切る権限を与えるということは、自信がなければできない。顧客を2年で縛るようなビジネスモデルはサブスクリプションとは呼べず、そのような自社中心の思考ではいつか淘汰される。サブスクリプション=定額、というだけの理解は誤っており、サブスクリプションは顧客の幸せの上に成り立っている唯一のビジネスモデルというのが正しい。当然、収益を考えてビジネスを進める必要があるけど、自社中心で物事を考えて成功できる時代は終わった。著者はサブスクリプション化できない分野は無いと言っていた。ビジネスを立ち上げる際はこの「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデルを考慮しないという選択肢は無さそうだ。

 

サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル