勝川STAND

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デザイン思考から始める「意味のイノベーション」について学ぶ『デザインの次に来るもの』

最近よくイノベーションという言葉を耳にします。

 

でも、個人的にはイノベーションというのは、未来が見えている高次元の技術者のような人が起こすもので、自分には縁のない話だと思っていました。そんな状況で聞いた「意味」のイノベーション

 

なぜこの時代に、ロウソクが売れ続けれるのか?

 

その答えが「意味」のイノベーション

 

デザインの次に来るもの  これからの商品は「意味」を考える

デザインの次に来るもの これからの商品は「意味」を考える

 

 

ロウソクというのは、本来、暗闇を照らすために生まれてきたけれど、電気が発明され、その意味というは他の製品に代替されるようになった。電気という便利なものを手に入れると、それまでロウソクが心を穏やかにする、安心感を与える、幻想的な雰囲気を与えるなど、本来の役割以外に僕らの生活を豊かにする意味があったということに気づかされた。これは、誰かが仕掛けたものではないと思うけれど、製品が持つ意味というものが変化を遂げ、新しい市場を切り開いた「意味」のイノベーションによるもの。

 

新たな何かを開発するということだけでなく、いま既に存在するものを、見えている側面だけではなく、多角的な視点を持ち、市場やターゲットをズラすことで社会的に大きな変化を与えることが可能であるということを本書で説いています。

 

デザインをうまく活用しているのはヨーロッパ、なかでもイタリア。事実、メイドインイタリーはどの国でもそれなりの数があって、数多くのブランドを持ち、歴史を辿ればダビンチ、ミケランジェロなどの人物が生まれ育った。イタリアは、クリエイティブな人材を輩出するエコシステムが機能し、新素材へのビジネス戦略上の挑戦とデザインの視点の転換でトップに躍り出た。

 

しかし、デザインが色やカタチという意匠だけの話でなく、デザインの考え方やプロセスをビジネスパーソンにも適用できるようなデザイン思考、ユーザー中心デザイン、そしてデザインドリブンイノベーションというアプローチを重視するようになってくると、イタリアデザインに存在感がなくなってきた。

 

そして、テクノロジー開発の背中を押すか、市場に新しい意味をもたらす土壌をつくるかを考え始め、たどり着いたのが「意味のイノベーション」。

 

人は、モノそのものよりも、モノとそれが関わるサービスの意味を買う。その意味は、買う側の生活様式や文脈によって変わるため、ターゲットによって訴求するべきポイントは異なる。

 

デザインには、小さなデザインと大きなデザインがあり、前者は色やカタチ、後者はプロセスとしてのデザイン、戦略的デザインを指す。ビジネスパーソンは、デザイナーでないからこそ、デザインという言葉に強いこだわりを持つべき。デザイナーは、デザインを論理的に解釈し、ビジネスパーソンはデザインを感覚的に捉えてしまっている。デザイナーの持つデザインに対する価値観を、ビジネスの論理に翻訳することがビジネスパーソンに求められる。そして、デザインに関わる戦略と、それ以外の多様な戦略の組み合わせが必要。

 

デザインの目的は生活を豊かにすること。自分の利益だけを追求せず、多くの人に喜ばれるモノを売り、周りの信頼を得て、利益を上げるもので、イタリアでは人間を幸せに居心地良くすることだったが、アメリカでは、デザインすることは、より多く売ること。デザインによって、販売を促進するために外観を変え、消費を刺激するために広告宣伝が積極的に利用され、大量消費と大衆伝達がデザインを動かす原動力となり、今あるものを古く見せる廃物化の技術としてデザインが利用された。

 

そして、デザインやデザイナーをうまく使えば儲かると経営者が気づき始め、デザインは商品のお化粧役から、組織全体に貢献する役割として認識された。デザインを鍵に企業の戦略策定と業務展開をすることをデザインリーダーシップと呼び、それを実現しているのはアップル、サムスン、ダイソンなどが挙げられる。それらの企業のコアコンピテンシーはデザイン。特にアメリカでは、デザインにおいて、極端に消費者の欲望を喚起する方向に寄りすぎたことへの反省から、デザインをお化粧ではなく、社会全体に生かしていこうという動きが出始め、ビジネスにおけるデザインの役割が大きく変わった。

 

デザインは、イノベーションの正解ではないが、役に立つことは間違いない。欧州の人は、アート作品は美しさを感じればよいだけでなく、作品から何を感じるのかを考え、何にでも意味や象徴を求める。逆に、日本では直感が重視されし過ぎて、物事の意味を考えるということに対して日常的に行えてきていない。五感をフル活用して、市場のコンテクストを理解してこそ、意味のイノベーションにつながる。

 

デザインの次に来るもの  これからの商品は「意味」を考える

デザインの次に来るもの これからの商品は「意味」を考える