勝川STAND

勝川STANDは、個人事業主様・フリーランス・小規模店舗経営者様に、無料ツールを使って、撮影から制作までリーズナブルにクリエイティブを提供します。

デザイン思考から始める「意味のイノベーション」について学ぶ『デザインの次に来るもの』

最近よくイノベーションという言葉を耳にします。

 

でも、個人的にはイノベーションというのは、未来が見えている高次元の技術者のような人が起こすもので、自分には縁のない話だと思っていました。そんな状況で聞いた「意味」のイノベーション

 

なぜこの時代に、ロウソクが売れ続けれるのか?

 

その答えが「意味」のイノベーション

 

デザインの次に来るもの  これからの商品は「意味」を考える

デザインの次に来るもの これからの商品は「意味」を考える

 

 

ロウソクというのは、本来、暗闇を照らすために生まれてきたけれど、電気が発明され、その意味というは他の製品に代替されるようになった。電気という便利なものを手に入れると、それまでロウソクが心を穏やかにする、安心感を与える、幻想的な雰囲気を与えるなど、本来の役割以外に僕らの生活を豊かにする意味があったということに気づかされた。これは、誰かが仕掛けたものではないと思うけれど、製品が持つ意味というものが変化を遂げ、新しい市場を切り開いた「意味」のイノベーションによるもの。

 

新たな何かを開発するということだけでなく、いま既に存在するものを、見えている側面だけではなく、多角的な視点を持ち、市場やターゲットをズラすことで社会的に大きな変化を与えることが可能であるということを本書で説いています。

 

デザインをうまく活用しているのはヨーロッパ、なかでもイタリア。事実、メイドインイタリーはどの国でもそれなりの数があって、数多くのブランドを持ち、歴史を辿ればダビンチ、ミケランジェロなどの人物が生まれ育った。イタリアは、クリエイティブな人材を輩出するエコシステムが機能し、新素材へのビジネス戦略上の挑戦とデザインの視点の転換でトップに躍り出た。

 

しかし、デザインが色やカタチという意匠だけの話でなく、デザインの考え方やプロセスをビジネスパーソンにも適用できるようなデザイン思考、ユーザー中心デザイン、そしてデザインドリブンイノベーションというアプローチを重視するようになってくると、イタリアデザインに存在感がなくなってきた。

 

そして、テクノロジー開発の背中を押すか、市場に新しい意味をもたらす土壌をつくるかを考え始め、たどり着いたのが「意味のイノベーション」。

 

人は、モノそのものよりも、モノとそれが関わるサービスの意味を買う。その意味は、買う側の生活様式や文脈によって変わるため、ターゲットによって訴求するべきポイントは異なる。

 

デザインには、小さなデザインと大きなデザインがあり、前者は色やカタチ、後者はプロセスとしてのデザイン、戦略的デザインを指す。ビジネスパーソンは、デザイナーでないからこそ、デザインという言葉に強いこだわりを持つべき。デザイナーは、デザインを論理的に解釈し、ビジネスパーソンはデザインを感覚的に捉えてしまっている。デザイナーの持つデザインに対する価値観を、ビジネスの論理に翻訳することがビジネスパーソンに求められる。そして、デザインに関わる戦略と、それ以外の多様な戦略の組み合わせが必要。

 

デザインの目的は生活を豊かにすること。自分の利益だけを追求せず、多くの人に喜ばれるモノを売り、周りの信頼を得て、利益を上げるもので、イタリアでは人間を幸せに居心地良くすることだったが、アメリカでは、デザインすることは、より多く売ること。デザインによって、販売を促進するために外観を変え、消費を刺激するために広告宣伝が積極的に利用され、大量消費と大衆伝達がデザインを動かす原動力となり、今あるものを古く見せる廃物化の技術としてデザインが利用された。

 

そして、デザインやデザイナーをうまく使えば儲かると経営者が気づき始め、デザインは商品のお化粧役から、組織全体に貢献する役割として認識された。デザインを鍵に企業の戦略策定と業務展開をすることをデザインリーダーシップと呼び、それを実現しているのはアップル、サムスン、ダイソンなどが挙げられる。それらの企業のコアコンピテンシーはデザイン。特にアメリカでは、デザインにおいて、極端に消費者の欲望を喚起する方向に寄りすぎたことへの反省から、デザインをお化粧ではなく、社会全体に生かしていこうという動きが出始め、ビジネスにおけるデザインの役割が大きく変わった。

 

デザインは、イノベーションの正解ではないが、役に立つことは間違いない。欧州の人は、アート作品は美しさを感じればよいだけでなく、作品から何を感じるのかを考え、何にでも意味や象徴を求める。逆に、日本では直感が重視されし過ぎて、物事の意味を考えるということに対して日常的に行えてきていない。五感をフル活用して、市場のコンテクストを理解してこそ、意味のイノベーションにつながる。

 

デザインの次に来るもの  これからの商品は「意味」を考える

デザインの次に来るもの これからの商品は「意味」を考える

 

 

 

坪田信貴『才能の正体』僕たち親は、子どもの思いを全力で肯定することが大切

僕は、2人の子を持つ親です。

 

才能の正体 (NewsPicks Book)

才能の正体 (NewsPicks Book)

 

 

上の子は、間も無く高学年となる小学生です。小学校に入学する前後あたりから、大人の言っていることをいろいろ理解できるようになったんだなと感じることが増えたので、自分自身の言動を気をつけないといけないなと思うようになりました。

 

子どもは大人が思う以上に、大人から影響を受けている。これを遺伝という言葉で思考停止してしまう親は、非常に危険だと思います。

 

ときどき、子どもが発する言葉を聞いて、なんだその言い方はと思うことがあるけど、だいたいは僕の言い方と同じ。でも、言葉は分かり易いから、まだ修正もかけ易い。

 

言葉より危ないのは、マインド的なことだと思ってます。反面教師というケースもあるかもしれないけど、一緒に生活をしていれば、ほとんどは親のマインドを受け継ぐもので、それは同じタイプ同士ではなかなか気付くのが難しい。ポジティブな親であれば、子もポジティブ。泣き虫な親であれば、子も泣き虫。いい面も悪い面も受け継ぐものだと思う。

 

だから、自分としては出来るだけポジティブな言葉を発し、ポジティブな行動を見せれるといいなーと思ってます。

 

 

あと、才能を殺してしまうのは大人だということを忘れてしまわないように心がけています。

 

自分はこれを意識的に行わなければ、自然にやってしまう危険性があると認識しています。子どもだけでなく、大人に対してもですが、自分の価値観、経験値だけで物事を判断するクセがついていると、他人が高いハードルに挑戦をしようとしているとき、ついネガティブなことを言ってしまう。それも、やる前から。人は議論の対象に具体性がないほど、批判的な意見を言う。

 

「お前にはまだ早い。そんなのできるわけない。」

 

発奮してそれが大きな力になる場合もあるけれど、多くの子どもはそんなに言うなら無理なのかなって思ってしまう。せっかくチャレンジしようと思って始めたのに、自分の価値観、経験値だけで人の才能を殺す。

 

 

こんな思考になってのタイミングで「ビリギャル」を観た。

 

この主人公の結果は、明らかな生存バイアスであって、がんばれば必ずできるということではなく、できたという裏には必ずがんばったがあるということ。

 

そして何より坪田先生が「学年で成績が下位にいるから慶応には合格できない」という結構誰でも思ってしまいそうなロジックを持たず、学年で成績が下位の主人公の慶応に合格したいという思いを全力で肯定し、その目標に対して、戦略、戦術を提案したからこその結果。

 

慶応に合格できるだけの戦略、戦術を考えることは誰にでもできるわけではないけれど、合格したいという思いを全力で肯定してあげることは、誰にでもできること。まずはそれのクセ付けが親には必要なんじゃないかと思う。そして、がんばれば必ずできるわけではなく、できるようになるためには、努力をする必要があるということを同時に伝えることが重要だと思う。

 

才能は誰にでもある。才能の有無はやってみなければわからない。だから、やってみようと思う気持ちを大切に育てていく必要がある。人はできそうなことしか、やろうと思わない。だからまずは、興味を持ったことに対して、自分にもやれそうかなという自己肯定感や自己効力感を持てるようなコミュニケーションを心がけることが大切だと思っています。

 

先日、BBT大学の動画で、とある編集者の方がこのような話をしていた。

 

AIの最大の強みは、何の恐れもなくトライ&エラーを繰り返し続けれること。

 

AIには自己肯定感や自己効力感といったものは無いけれど、何かを恥ずるというマインドがない。そうすると失敗ということに対して、何も恐れることなく、答えを導きだすことができる。時間はかかるけど、トライを永遠に続けることができる。そもそも失敗という概念さえもない。

 

 

僕ら子育て世代は、同じ文化のなか、同じ教育を受けてきた同世代の同じような感覚を持った血の通った人間と生活をしてきた。

 

でも、僕らの子どもたちは、全くそうではない。

 

全く違う教育を受け、全く違う文化のなかで生活をしてきた様々な国の人や、結果だけを求め忠実に物事を遂行するAIと共に生き、時に競争をしていくというのは、今とは全然違う。だから、僕たち親も、自分の親の育て方と同じことをしたのでは、子どもたちは苦しむことになると思う。ただ、子育てというのは答え合わせが難しく、どこが良くて、どこで間違えたなんてことはきっと分からない。でも、坪田先生が言われているように、子どもの思いを全力で肯定するということに間違いはないんじゃないかと思う。

 

才能の正体 (NewsPicks Book)

才能の正体 (NewsPicks Book)

 

 

カスタマーサクセスが収益を生む新時代のビジネスモデル『サブスクリプション』について学ぶ

 サブスクリプションと聞いて、みなさんはどのサービスを思い浮かべますか。

 

音楽が好きであれば「Spotify」、映画好きなら「Netflix」、クリエイターなら「Adobe」、意識高ければ「NewsPicks 」。ライフスタイルで思い浮かぶものが異なると思いますが、徐々に僕たちの生活のなかに自然と入り込んできていることを実感します。

 

サブスクリプションというビジネスモデルは、現代社会で生き残るためのひとつのキーワードであり、理解をせずに商売を続けるというのは益々難しくなるのかなと思うようになりました。テクノロジーの進化によって、顧客のライフスタイルが変わり、モノの売り切り型ビジネスのニーズは下降傾向にある。これは求められているものが変わったということ。ビジネスの大小関わらず、サブスクリプションについては一定の理解が必要であると日々感じる中、こちらの本を読みました。

サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

 

 著者はセールスフォース創業初期のメンバーで、サブスクリプション・エコノミーの到来を逸早く予見し、サブスクリプションのモデル変革・収益向上を提供するZuora立ち上げたティエン・ツォさん。

 

これからのビジネスは、特定の顧客のウォンツとニーズに着目して、継続的な価値をもたらすサービスを創造する必要がある。顧客をサブスクライバーに変えて、定期収益を得る構造を築くことが一番重要で「プロダクトファースト、カスタマーセカンド」という思考を逆転させ、顧客の成功=カスタマーサクセスを最大の目的とする。

 

テクノロジーの変化によって顧客志向は変化し、関心も、支払いも、所有から利用へと移行し、サブスクリプション・エコノミーが爆発的に拡大しているのが現在で、過去の120年はプロダクトエコノミーとも言える。企業はようやく顧客を理解し始め、顧客一人ひとりが異なる顔を持つことを認識し、その認識のうえにビジネスを構築して成功している。

 

顧客がお金を支払う対象は、モノの所有よりも結果を得ることにシフトしてきた。そして、あらゆるものが標準化されたものではなく、カスタマイズされたものが選ばれるようになってきている。企業は、計画的陳腐化という自分たちの都合で市場をコントロールするよりも、絶えざる改善で売り上げを向上させなければ生き残ってはいけない。

 

買うことは、余計なものを増やすことと同義になりつつある。顧客は指先で操作でき、即座に実現して継続的に利用できるサービスを求めている。デジタル世界の破壊者たちは、誰にそれを売っているのかを理解し、セグメントに分けることなく、一人ひとりのサブスクライバーと向き合ってビジネスをし、デジタルユーザーエクスペリエンスを改善し続けていることで、デジタル・サブスクリプションが急増している。

 

よく小売業が死んだと言われるけれど、それは間違い。あくまで死んだのはお粗末なリアル店舗。また、Eコマース vs リアル店舗という二分法も間違っている。店舗は商品を売るため、顧客は商品を買うために存在しているという思考は危険。スマホの戦場は契約者の奪い合いではなく、ユーザーマネタイズへ移行していて、AppleはPhoneの出荷台数を気にしなくていい体質作りのために、自社製品を顧客にサービス提供するための手段とみなす傾向を強めている。

 

多くの企業が加入者との関係性マネジメントに失敗し、顧客無視のゾンビビジネスモデルを続けている。顧客の不満が光速で拡散される今、顧客が自社との関係をやめることを邪魔してはいけない。すべての発想を、製品からでなく顧客から始め、ビジネスマインドセットを変える必要がある。

 

新しいビジネスモデルは、きまぐれな広告に依存するものではなく、安定した定期購読収入に立脚するものになる。サブスクリプション化できないものはなく、IoTによって益々加速し、効率性追求のステージを超えて、可能性追求のステージに入る。製造会社がIoT企業に変身すれば、重い産業機器と軽いデジタルサービスの区別は意味を失い、スマートやコネクティッドということが当たり前になり、それらの形容詞は使われなくなる。IoTによって顧客を再発見することができる。所有という概念は死に、今後はアクセスが新たな課題となり、自動車業界は個々の物理的なやり取りではなく、全体をカバーするサービスへと進化する。これまでは車を販売後、システムに繋がっていないため、カスタマーエクスペリエンスが断片化していて、カスタマージャーニーが見えてこなかった。移動という手段は日常生活にシームレスに埋め込まれた直感的なサービスへと急速に進化している。

 

プロダクトよりも、サービスに焦点を当てる戦略が真っ当であると言える。顧客ファーストではなく、製品ファーストでモノが売れたのは、消費者が受け身だったから。誰もが即座に手のひらから情報を発信できる時代においては、今日のブランド価値は、広告ではなく、経験を通して伝えられるようになった。また、One to One マーケティングがメインストリームになり、サブスクリプションがそれをより良く実現する。口コミがインターネットで威力を増し、ストーリーテリングの重要性が認識されるようになった。かつてマーケティングがこれほどエキサイティングな時代は無かった。

 

商品を顧客に移転させてしまえば終わりだったビジネスは、今後は長期に渡って継続する関係を結ぶことが重要となる。販売数を増やし、値段を上げ、コストを下げることで成長してきたが、サブスクリプションビジネスでは、より多くの顧客を獲得し、顧客価値を高め、顧客を出来る限り長くつなぎとめる必要がある。サブスクリプション文化とは、サービスを使ってくれている顧客に成功してもらうことであり、それを自社の収益に変換すること。かつて、私たちは知っている人から物を買っていたが、産業革命で消滅し、計画的陳腐化、大量の売れ残り廃棄物、モノを所有するという概念をそぎ落として大きく姿を変えてサブスクリプション・エコノミーとなって戻ってきた。

 

 

いつでも顧客の側に契約を断ち切る権限を与えるということは、自信がなければできない。顧客を2年で縛るようなビジネスモデルはサブスクリプションとは呼べず、そのような自社中心の思考ではいつか淘汰される。サブスクリプション=定額、というだけの理解は誤っており、サブスクリプションは顧客の幸せの上に成り立っている唯一のビジネスモデルというのが正しい。当然、収益を考えてビジネスを進める必要があるけど、自社中心で物事を考えて成功できる時代は終わった。著者はサブスクリプション化できない分野は無いと言っていた。ビジネスを立ち上げる際はこの「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデルを考慮しないという選択肢は無さそうだ。

 

サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

 

 

『アリエリー教授の「行動経済学」入門 お金篇』で人間をアホにさせるお金について学ぶ

僕は、広告業界の端っこで十数年で生きてきました。

 

ダイレクトメールを使って、ひとの心をどう動せれるかを考えています。僕はデザイナーではなく、ディレクター寄りのポジションで、デザインでどう見せるかについてはデザイナーにお任せしています。なので、そこに落とし込むまでのことを中心に考えています。とはいえ、本当にそんなことを考えだしたのはここ数年で、それまでは来る案件一つ一つに対して「売上」という単位で捉えることが多く、積めたはずの経験値を失っていたこともあったと今更ながら感じています。

 

この数年は、編集力を高めることと、マーケティング領域の知識習得を積極的に行ってきました。大学ではまともに勉強をしてこず、勤め人になってからも、仕事を給料をもらうためだけのものという感覚で長年過ごしてきていたため、いまの歳になって学びが多くなってますが、この状況で強く感じることがあります。

 

結構、フレームワークって大事かも。

 

そんなことよりも実務だろと言われる方もいらっしゃると思いますが、僕は結構大事だなって思います。でも、やったこと無いことをいくらロジカルに説明されても、理解できないと思うので、順序的には実務経験したうえで、フレームワークの学習をした方が効果的かと。物事を経験したうえで学べば、より深まる。

 

フレームワークの学習と同時に、心理学などにも興味が湧いてきました。そうなると、自然と行動経済学に引き込まれていきます。行動経済学は、主流派経済学に対する批判的な研究として誕生した。僕は教養がそこまでないので、誤った解釈かもしれませんが、経済学は基本的に数学的なことであって、そこに心理学は適用されていない。人間の行動を合理的な数学だけで説明することは無理筋。行動経済学は、必ずしも合理的に動かない人間の心理的、感情的側面を分析した学問であり、マーケターとしては理解しておくことでで意思決定までのスピードは早くなるし、目標達成が近づくんじゃないかと思います。

 

最近、行動経済学関連の書籍をいくつか読みましたが、今回読んだ本は中身を理解するのがスムーズでした。知識を深めてきたからというのも多少はあるかもしれませんが、比較的自分事しやすい表現が多かったと思います。

 

アリエリー教授の「行動経済学」入門-お金篇-

アリエリー教授の「行動経済学」入門-お金篇-

 

ほとんどの人が、しょっちゅうお金のことを考えている。 そして、ほとんどの人がお金のことでしくじる才能を持っている。人間は、お金が絡むことで、判断が鈍り、たまにアホになってしまう。行動経済学は、そういう人間の弱いところを学べる学問。以下、本書を通じて得た知識を備忘録的にまとめました。

 

 ■メンタル・アカウンティング

お金を使うとき、心の勘定科目(メンタル・アカウンティング)というものが存在し、同じ金額なのに不可解な判断をしてしまうことがあり、無意識の場合は愚かな意思決定になる。全てのお金に、その記載された金額の価値があるのではなく、手に入れたそのお金に対して持っている感情に左右され、どの分類に位置付けたかによって、会計処理は変わる。隣のスーパーやガソリンスタンドが数円安いだけで心が動かされるのに、所謂ハレの日や旅行のときの出費は、日常とは全く違う会計基準が適用される。無料というワードにも心が動かされる。無料に釣られて上機嫌になり、判断力を鈍らせられ、買うつもりが無かったものを買わされる。

 

■相対性

お金は汎用性、分割可能性、代替可能性、貯蔵可能性がある非常に便利なものだけど、どんなコインにも裏と表があるように、お金にも裏と表がある。お金は、あればあるほど問題が起こり、お金を使うたびに機会費用を考えるという面倒が発生してしまう。人間は、どう考えてもおかしな心のトリックで、自分にとってどれだけの価値があるか、いくら支払ってよいかを弾き出し、実際の価値とは無関係な方法で価値を評価することがある。比較するときも、全てのものと比較するのではなく、目の前に見えている一つか二つでしか比較をしない。だから欺かれる。割引を見ただけで意思決定プロセスのレベルが低下する、まるで愚かさを呼び起こす薬のようなもの。元の値段に対して、割り引かれた金額を提示され、その価格の比較をもとに決定し、賢い選択をしたと満足することができる。また、比較する際、適正価格が分からない時、高級モデルでもなく、最低モデルでもなく、中間モデルを選ぶ傾向が高い。このような相対性は、生活のあらゆる場面に忍び込み、強力な影響を及ぼす。

 

■出費の痛み 

私たちは消費が好きだけど、お金を支払うのは嫌い。多くの人は、出費そのものではなく、出費について考えることから痛みが生じている。前払いなら多くの出費を惜しみ、後払いなら出費を渋り、都度払いなら更に出費を減らす。前払いは、チャージ時に痛みは感じるものの、チャージした価値を使う時にはほとんど痛みを感じなく、将来の支払いに頭を悩ませる必要がない。ギフトカードは決まったものにしか使えないから、意思決定がしやすい。クレジットカード支払いは、将来のお金を現在のお金よりも低く評価しがちなことを利用したタイムシフトという側面だけでなく、支払いへの注目を減らす力もある。デジタルウォレットが主な決済手段になると、今よりも更に誘惑に陥落しやすくなる。

 

■アンカリング / ハーディング

購買するときに一番信用するのは自分自身で、アンカリングの餌食となる。なにかの決定を下すとき、その決定とは全く関係のない物事に引きずられるもので、この価格なら買うという留保価格は、実際に自分にとってどれだけの価値があるかということだけではなく、市場価格の影響を受ける。また、何なのか知らない値で価値を提示されると影響されやすくなる。アンカーが意識に入り、自分のものとして受け入れたとたん、私たちはそれが重要で、確かな情報に裏打ちされていると、直感的に信じてしまう。それは他人が高く評価しているように見え、価値が高いに違いないと考えるためで、行列に並ぶことと近い。この行為はハーディングによるもので、人は基本的に群れをなしたいという傾向によるもの。

 

過去の自分が高く評価したことも、高い価値があると考える自己ハーディングという傾向もある。自分が前に下した決定は最高で、最もな理由があるに決まっていて、最善の決定をしたと思い込むと、その後、裏付ける情報を探し出し、自分の素晴らしさに満足する、価値判断を惑わす確証バイアスは非常に危険なもので、ある種、思考停止した状態とも言える。

 

■授かり効果 / 損失回避性 

何かを所有すると、その価値以上に高く評価するもので、この授かり効果は、形あるものの方がより高くなる。トライアルオファーで、所有意識を高めて、所有前よりも評価を高め、購入に導く。仮想の所有意識であっても評価は高まる。人は損失の痛みを、同等の利益を得る喜びよりも強く感じる生き物。所有しているものを手放すときに感じる痛みは、所有していないものを得る喜びよりもずっと大きい。サブスクリプションなどで数日間無料お試しが横行しているのも、このあたりの効果によるもの。

 

利益よりも損失を重く感じ、所有物を過大評価する人間の傾向は、一度何かに投資すると、その投資を簡単に諦らめられなくなるサンクコストにとても強力に作用する。投資したものを失いたくないがために、希望的観測をもって損の上塗りをする。サンクコストを過大評価するから、ますます諦めれなくなり、更に墓穴を掘ることになる。サブスクリプションは本当に巧妙なセールス手段と感じる。

 

■公正さ / 労力

人間らしい人間は、価値と価格の他に公正さも考慮する。物事の公正不公正は労力の度合いで感じ方が異なり、労力がかかっていると見せかけた方がお金を払いやすい。価値と労力が入り交じるせいで、高いお金を払うことがあり、労力が目に見えないことは評価されにくい。物理的なモノ自体はなにも変わらないまま、言葉によって労力を見せかければ、私たちの経験は変化し、それとともに支払い意思額も変化する。言葉には、商品に対する私たちの見方を変え、その表現方法に見合った対価を要求するという魔法の力がある。消費の語彙が、これから消費しようとするものを表現するだけでなく、生産の過程も説明すると、より一層その商品を高く評価する。職人風、フェアトレードなどの用語は、創造性や独創性だけでなく、特別な労力をかけていることを表し、価値が高いことを暗に示している。シェアリングエコノミーの拡大も、言い回しがポジティブだからと言える。

 

どんなものでも労力をかけてその創出に関わると、より一層愛着を感じるもの。これをイケア効果と呼び、それは難しければ難しいほど、愛着は高まり、さらに儀式化することで、過去や将来の同じ経験と結びつけることかできる。儀式は自分で物事をコントロールしているという感覚を高め、経験の価値を高める。消費に深く関わるから、楽しさが増す。

 

経験の価値は、実際に経験する前の時点で更に高めることができる。期待できると予期するだけで経験の価値は高まり、期待が低いと経験の価値が下がる。高まった期待は経験に対する評価そのものを変化させる。ブランドは期待を生み出し、価値に対する認識を高め、実際のパフォーマンス向上をもたらす。

 

■自制

未来の何かよりも、今この瞬間の何かを高く評価する傾向がある。それは目の前の現実は詳細や感情などがはっきりとした形を成しているが、未来はそうではないから。今は私たちを誘惑するが、未来は誘惑しない。意思だけで誘惑に勝つのは難しい。

 

シグナリング

明らかな価値の手がかりがない場合、私たちは価格を価値と関連づける。真の価値や理屈関係ない場合でも、高い価格は高い価値をシグナリングする。価格はいつでも簡単に定量化、計測、比較することができる指針となる。製品を比較する際、評価可能性と呼ばれる定量化可能な特性で比較する。

 

 

本を読み終えると、これら例に挙げた手法は、日常生活のあらゆるところに潜んでいて、僕たち消費者の判断を巧みに操っているということがすぐに分かる。場合によっては、行動経済学という認識はなくとも、感覚的にやれているというケースもあるかもしれません。

 

消費者としては、このような手法で心を躍らされることに気をつけ、不合理な要因を他から押し付けられるのではなく、自分自身で判断することが重要。モノやコトを売る側は、テクノロジーの進化をウォッチしながら、このような手法で購買行動を設計することで競争優位に立てると改めて感じた。引き続き、行動経済学に注目していきたい。

 

アリエリー教授の「行動経済学」入門-お金篇-

アリエリー教授の「行動経済学」入門-お金篇-

 

 

今日から使える”すごい手口”が満載『電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。』

広告、まじウザい。
 
見たくて見る人なんて、業界の人だけで、見なくて済むものならそうしたい人がほとんだけど、モノやコトを売る側は、作ったものをどうしてもみんなに知って欲しいから、なにかしら広告を打つ。それで知ってもらって、購買に動かしたい。
 
 
そうするには、商品ありきの広告ではなくて、お客様の購買行動を起点に売り方を考えていく「ショッパーマーケティング」が必要となる。それはつまり、買いたい空気をつくるみたいなこと。モノに溢れ、情報洪水の現代社会においては、広告はただのノイズで、シャットアウトされるものとなり、テレビCMどーん、商品を売り場にどーん、というかつて正攻法と言われたものは効かなくなった。
 
そんなマーケターにとって厳しい時代に、買わなきゃと思わせるメソッドが、ビール片手に読めるくらいのライトなテイストで”すごい手口”が公開されているのがこちらの本です。
電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。

電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。

 

 

タイトルの意味が分かるような、分からないような。

 

スタッドレスタイヤを売れるようにするには、プロモーションでがんばって得られる効果よりも、その年、めっちゃ雪が降るのが一番高い効果が得られる。だから、電通さん、プロモーションより雪降らせちゃってよという意味。スタッドレスタイヤに関わらず、このようなコントロールができない二次的要素に振り回されることは、どんな商品、業界でもあると思います。

 
言わずもがな、いくら電通さんでも雪を降らすコトは絶対に無理なんですが、行動経済学や心理学、脳科学を使って、その不可能を同等の効果に近づけることができます。んなもん聞いたことはあるし、やってるわと思うものもあるかもしれませんが、個人的に頭に残しておきたいことを、備忘録的に以下に挙げさせていただきます。店舗の設計もそうだし、ダイレクトメールやチラシでも、結構身近なプロモーションメディアに使えると思います。
 
 
よくある手法ですが「時限」は効果的。なにか気に入った商品であっても、これ今買う必要あるか?と購買を思い留まることってあるかと思います。買いたくても、今買う理由を与えて欲しい。そういう迷ってるひとには非常に有効。
 
偶然性の創出。たまたま入ったお店で、たまたま覗いたオンラインショップで、たまたまタイムセールがやってて、買ってしまったという経験はありませんか。これは偶然遭遇したチャンスを生かしたいということ。そして、そのチャンスを生かしました!と自慢したいという欲が深まり拡散する。
 
開示という手口。安ければなんでも良いわけではない。逆に安すぎても、なんでそんな安いの?と警戒してしまう。ただ安ければいいのではなく、安さの理由を説明する必要がある。売り手にとってネガティブな理由であっても、それが安さに通じていると分かれば、理解をしたうえで安心して購買することができる。このような正直マーケティングの効果は高い。
 
段階的値引きでお得感をより一層与える。これはテレビショッピングでよく目にするかと思いますが、行動経済学的にアンカリングという手口です。ひとは一度価格を提示されると、それをベースに物事を考える。通常価格が10,000円のところ、今ならなんと8,000円と言われるだけで、売り手はもともと8,000円で売るつもりであったはずなだけなのに、お得感を与えることができる。
 
雑さが与えるお得感。綺麗に棚に陳列しているのと、雑にワゴンに入れているのとで、同じ価格であっても後者のほうが売れることがある。これは雑に置いてあるものは安いと感じさせるヒューリスティックによるもの。
 
売れ行きを可視化して、他の買い物客の存在で購買を煽り、品切れの伝え方も巧みに操る。品数で飢餓を創出することや、その飢餓の放置をすることで購買を煽る。行列は最高のスパイスになる。いつでも食べれる手に入るようになれば、同じように美味いとは感じなくなる。再入荷というコピーで飢餓開けをアピールすることも効果大。
 
買い物客目線の共感を示す買い文句でアプローチする。競合のアイテムが気になっている場合、まずはその競合のアイテムを褒める。それは選択肢に入れたお客様を褒めることと同義の行為。その上で自社の優位性を説く。基本的に、売る人の言うことは信じてもらえず、買った人の言うことは信じられる。売り手色を消して、あの人が言っているから間違いないとどう思わせるれるか。
 
などなど、今日から使える手口がたくさん紹介されていました。人は何度も接触すると、よく知っている→気になる存在に→ちょっと好きかもと心理が変化していくと言われ、テレビCMどーん、商品を売り場にどーんという手法で経済を回してきた。また、昭和の買い物は圧倒的に情報が少なかったため、買うまでの判断が早く済んだ。この超情報化社会においては、製品のサービスではなく、ユーザーの経験価値を重きに置いてアプローチする必要がある。そして、例に挙げられる行動経済学に基づいた手口を学ぶことの重要性が増々高まっている。人は、ゼロからプラスよりもマイナスからゼロの行動を優先させるということや、群れをなしたがるというハーディング現象、必ず何かを参照するアンカリングなど、行動経済学にはモノやコトを売るためのヒントが多く含まれる。
 
義務的な感情に支配された広告は、他人の家に許可なく土足で入り込む超迷惑なウザいもの。
 
マーケターは常にお客さんと
同視点に立っているか、売りつけていないか、ファンを増やすかを考える。モノを売ることがカッコ悪くなってしまい、それを手伝うことはもっとカッコ悪い世の中になりつつある。広告を作る側は、その仕事を通じて、社会にどういった変化をもたらせたいか。そんなことを考えて、買い手の共感を獲得していこう。

 

電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。

電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。

 

 

『〔エッセンシャル版〕行動経済学』で人間の非合理的な側面を学ぶ

僕は、将来的に店舗経営ということに、強い興味があります。

 

ただ、これまで業界には捉われてはいないものの、プロモーションという文脈のなかでの法人営業という経験しかありません。また、自分自身、身体が強いわけではないので、なるべく先人たちのTipsを効率良く吸収したいという気持ちがあって、書籍を中心に情報を収集をしていたなか、行動経済学に出会いました。

 

それは2017年、セイラー教授がノーベル賞を受賞されたタイミングあたりから、書店でよく目にするようになったのがきっかけだったと思います。そこから、気にはなりながらも、手をつけるには時間がかかってしまい、今年に何となく手にした「行動経済学まんが ヘンテコノミクス」を買ったことから、興味が深くなっていき、今回の本を読みました。

 

〔エッセンシャル版〕行動経済学

〔エッセンシャル版〕行動経済学

 

 

人間は、矛盾を抱える特異な生き物。

 

合理的に物事を判断しているように見えて、実はそうではない全く合理的判断を欠くことが、自分たちの経済活動のなかにある。意思決定は利益とコストの合理計算だけで成り立ってるわけではない。

 

行動経済学は、経済学に社会心理学社会学神経科学、進化生物学などの知見の集合体。料理人であれば包丁の使い方、美容師ならハサミの使い方、大工ならインパクトの使い方のそれぞれを学ぶことと同じように、商売人であるならば行動経済学を学ぶことはマストなんじゃないかと思います。人を相手にするのであれば、人の心理を先読みして選択肢を与え、ある程度、自分の思う絵を描いておけることは、武器になるはず。

 

個人の意思決定には様々な制約があり、それを限定合理性という。合理性は、置かれた状況や場面によって、左右される。インセンティブは、経済分析において基本となる概念で、市場の多くが金銭的インセンティブによって支えられているが、行動経済学的には意思決定はその他にも社会経済的、心理的要因が影響を与えており、非金銭的なモチベーションを生むことがある。

 

インセンティブとモチベーションには、内発的なものと外発的なものがある。時に内発的なモチベーションは、外発的なモチベーションによってグラウディングアウトされることもある。慈善的寄付の動機は、外発的なイメージモチベーションであり、寄付は他者に自分が善良な人間であることをシグナリングする手段。

 

私たちは他の人が自分よりも恵まれていることや、逆に不幸であっても、不平等であるという結果を嫌い、それを不平等回避という。不平等回避には、優位の不平等回避と劣位の不平等回避があり、後者の方が強烈な不満を抱く。意思決定をするとき、集団の平均的な意思決定と思われる社会的参照点を提示されると、自らの消費量をそこに合わせようとする傾向がある。

 

人間は他者を模倣し、群れを形成し、行動をともにしようと思うもので、これをハーディング現象というが、それは規範的要因、情報的要因の二種の要因によって引き起こされる。ハーディングするのは、集団に加わることで安心感を得たいからであるし、慣習に従って間違えるほうが、慣習を破って成功するより評判は傷つかないというメリットがある。ハーディング現象は、迅速な意思決定の手段で、それをヒューリスティックという。

 

選択肢を与えすぎるのは、判断できない状況を生む。現代社会では、選択肢の過負荷は特に深刻で、情報の過負荷がより顕著。しかし、意思決定を急いでする時、持っている情報全てを検討するわけでなく、簡単に手に入る情報に頼り、これを利用可能生ヒューリスティックと言う。人間は目にした情報の最初と最後を記憶しやすく、これを初頭効果と親近効果という。お得な業者がいると分かっていてもスイッチングをなかなかしないのは、先延ばしにしているだけじゃなく、利用可能性ヒューリスティックも作用していて、私たちはすでに知っているものにしがみつく。人は類似性がありそうに見えるというだけで、もっともらしい関連性を見つけてきて、勝手に思い込みを始める。

 

リンダ問題が連言錯誤の証明(リンダ問題が初耳の人は、是非調べてみてください)。代表的ヒューリスティックを使って、もともと持っている筋書や固定観念に判断を合わせる。新たな情報に接しても従来の考えを修正しないのは代表的ヒューリスティックが強いタイプ。参照点を現在に置くことが多いのは、現在の状況を変えるのを避けたがる傾向があり、現状維持バイアスという。企業や政策立案者は、現状維持バイアスを利用して私たちの意思決定を操る。

 

入手するすべての情報に基づいて選択するのではなく、すぐに入手できる情報をもとに選択し、利得よりも損失を過大に評価する損失回避性があり、期待する効用が最も高い選択肢を選ぶ。その意思決定多くはは、今という参照点からの変化に基づいている。また、たとえ報酬が大きくなると言われても、今すぐにもらえる報酬を好む現在バイアス。現在の誘惑に抗うのは難しい。

 

お金はいつ、どこで使うかに関わらず、全く同じ価値がある代替可能物とは認識されていない。宝クジの当選金と、働いて稼いだお金とは違う。メンタルアカウンティングが働くということは、経済的意思決定に対する評価が状況に左右されることを示す。なぜ人が長期的に自らの利益を最大化する行動が取れないのかは重要な課題。

 

何かを決めかねているとき、感情が決定打になることがあり、感情ヒューリスティックと呼ばれる。ヒューリスティックは迅速に意思決定するためのルールであり、優れた判断にも、失敗の原因ともなり得る。衝動的な感情的反応は、狩猟採集時代には生存に重要な役割を果たした。特に認知能力にあまり自信がない人は、感情に頼る傾向がある。また、ストレスを感じている熱い状態のほうが、感情や直感的要因に圧倒される。人間は生まれつき楽観的に考える傾向があり、社会の持つ空気感も意思決定に影響を及ぼす。

 

人は、現状維持を好む傾向があるため、デフォルトオプションをうまく使うべき。デフォルトオプションを最適な選択だとシグナルが受け取るのかもしれない。スイッチングを避ける傾向があるがあるのも、現状維持バイアスの影響。スイッチングを促すには社会平均を提示し、社会的ナッジを効果的に使う。逆に平均より低いひとは平均値に上げる傾向もあり、総数として変化がないこともあるため、目的に合わせてナッジを効果的に使う。

 

行動経済学は人間の持つクセみたいなものが集約されている。そのクセの多くが合理的な判断を欠いて、ある意味間違っていると自分で気付いているにも関わらず、意思決定をしているようなもの。本書を通じて、人間は基本的に面倒がとにかく嫌いで、合ってる間違ってる関係なく、早く、そして簡単に意思決定をできることを望む生き物であるということを学んだ。引き続き、行動経済学について、学びを深めていこう。

 

〔エッセンシャル版〕行動経済学

〔エッセンシャル版〕行動経済学

 

 

 

レイマック豊田礼人さんに学ぶ、中小企業が自由になるためのマーケティング思考「売るためセブン」

勉強しようとその気になれば、世の中には情報に溢れていて、いろんなメディアから有益な情報をいつでも取り出せる。努力次第で情報を得ることができる時代。マーケティング関連の情報を得たいと思えば、書店には多種多様な本が書棚に並んでいて、目的さえ持っていれば、タイトルから選ぶこともでき、Amazonで買う人であれば、リコメンドで自分の欲しそうなタイトルを簡単に見つけ出すことができる。インターネット上には、無料で良質なコンテンツが山ほどある。

 

でも、国内企業の99.7%、従業員数で言えば約7割が中小企業という実態があるなか、中小企業が主役であったり、中小企業の実例をもって説明されているというマーケティング関連の書籍に出会うことは非常に少ない。基本的にはビッグネーム企業のニュースや経済誌で目にするような結果に対しての裏側の話であったりすることが多い。それを知ること自体悪いことではないし、知っておくべき重要なポイントであると感じるけれど、でもそれって僕らのような会社に置き換えても大丈夫なの?と感じることも多い。

 

ステージが違えば、やるべきことも違うんじゃないか。そう思うひとも少なくないと思います。

 

今回、コチラの本を読みました。

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『小さな会社の売るため7(ウルタメセブン)』

 

著者は名古屋を拠点に活動されている「レイマックコンサルティング」代表の豊田礼人さん。

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豊田さんは中小企業診断士であり、自主セミナー連続50回開催、月刊会報誌120ヶ月連続発行、110人超の起業家インタビュー、週刊メールマガジン700週間連続発行するなどマーケティングブランディング戦略の立案が専門分野のコンサルタントこの書籍では、売上を伸ばすための必須項目として以下の7つのパートに分けて、マーケティングの重要性を説いています。

 

1 WHO 誰に?

2 NEEDS ニーズ

3 STRENGTH 強み

4 DIFFERENCE 違い

5 NAME & DESIGN 名前とデザイン

6 SELF IMAGE セルフイメージ

7 PROMOTION 宣伝広告

 

それぞれについて端的にまとめられていて、書店に行ってもどれから読み始めればいいか分からないという人でも、サクサク読み進められ、また、書店に並ぶマーケティング関連の書籍とは違い、それぞれの項目で例に挙げられている成功事例のほとんどが、中小企業の事例となっていて、かつ、その事例のほとんどが豊田さんご自身がヒヤリングしてきた企業であるので、なによりリアリティがある。

 

先日、編集者の佐渡島庸平さんが、あるメディアでこのようなことを言ってました。

 

人間は、自分ができそうなことしかやらない生き物。

 

「あ、これ自分にもできそう」と思えることしかトリガーにならない。スケールの大きすぎる事例を聞くと、なるほどそういうことかと感じることがあっても、尊敬の念が先に立ち、いまいち自分事化するのが難しい。その立場に立って考えるということが難しいし、実践できることも少なく、したとしてもステージが違う状況で、成功に結びつくかは何とも言えない。自分たちに置き換えてイメージのできる規模の企業の成功事例を学ぶということは、今後の成長において非常に有効なことだと思います。

 

豊田さんはこれまでに110人超の起業家へ、成功事例やマインドセットなどのインタビューを続けてこられています。その原液が入った『小さな会社の売るため7(ウルタメセブン)』。縛られているものから自由になるためには、マーケティング力が必要と豊田さんは言っています。そんなワードが響いたり、ご自身の会社の未来を真剣に考える経営者や起業を考えている方は是非ご一読を。

 

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定期的に開催されている自主セミナー。11月には通算50回目となる「共感時代のコツコツ流仕事術」というタイトルのセミナーが開催されます。こちらも是非。

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