『未来化する社会』イノベーションとグローバル化という波にどうやってテイクオフするのか
とにかく本を選ぶ基準は子供がベースにあります。
自分の子供が大人になったとき、現代の常識が非常識になって、非常識が常識になって、という多くのコトが起きているはずです。そのときになって、初めて気付くんじゃなくて、そういうのは必ずいきなりじゃなくて兆候があるはずだから、なるべくそういう情報を集めて、なるべく早く気づかせてあげたいという気持ちが強くあります。
今回はこちらの本でそういったことをチェックしました。
未来化する社会 世界72億人のパラダイムシフトが始まった (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)
- 作者: アレックロス
- 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ジャパン
- 発売日: 2016/05/19
- メディア: Kindle版
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著者はアメリカの方です。たまに外国の方が書いた本を見ますが、やっぱり言葉の表現の感覚が違ってて、読むのに時間を要するし、その言い方とか、その話って要ります?とか結構感じる部分があります。自分はあまり集中して読むことが苦手で、隙間時間を使って本を読むことが多いのですが、読了までに結果的に4週ほどかかってしまいました、、でも流石ヒラリー・クリントンの元参謀、自分が知らなかったワールドスタンダードについて沢山記してありましたので、一部を紹介させてください。
ロボットがやって来る
日本ってこれから人口が減っていくは誰の疑いもない周知の事実ですよね。いまから33年後の2050年は3人に1人が65歳という超高齢化社会に突入します。要するに経済を支える若い力がなくなっていくわけです。高齢者が増えて、若年層が減る。そこで問題となるのが、年金というのもありますが、デイサービスなどの介護者も足りなくなるわけです。現時点においても過酷な労働条件などで不足しているところが、もっと足りなくなるわけです。どうするんでしょうか。
ロボットなんですよ、そこを埋めるのが、人間じゃなくて。
昨日もAIで小説を書いてなんとか賞の一次審査を通過したなんてニュースが飛び込んできましたが、ロボットが人間に代わって仕事をしてしまう時代がもう来ちゃってるんです。介護ロボットに関しては、日本政府もかなり投資しているようで、今後、日本以外の先進国においても同様の問題が発生することが予想される。その時にはまた日本が世界でイニシアチブを取れる期待も大いにあるようです。
これまではアジア諸国の方々が日本に稼ぎにやってきて、日本人の仕事が奪われてしまっている業界もすでにあると思いますが、これからはロボットと競争するんです。ロボットには心はないけど正確性は人間よりもある。そうなると確実性を求められる、決まりきった内容を行う仕事に関しては人間は要らなくなるわけですね。
これによって影響を受けるのが中国ですね。安い労働基盤を駆使してこれまで国力を増大させてきましたが、ロボティクスの進歩が続けば危うい状況が容易に予想される。
ゲノムの未来
中国はインターネットにもっと早く乗り込んでいればという後悔の念から、ゲノミクスの世界では覇者になると判断し、投資をどんどん推し進めている。先ほどのロボティクスの波をゲノミクスで迎え撃つのです。
遺伝子レベルでいろんなことが決まっちゃってる。これは最近話題の「言ってはいけない」でも触れられてましたが、遺伝子でどんな依存症になるのか、どんな顔になっていくのか。才能や性質も分かってしまうという。これが一般化するとどういう社会になってしまうのか。想像しただけでも恐い。競争がなくなりますよね、きっと。だって分かっちゃってるんだから、自分の限界が。
近年は絶滅種だって蘇らせれるし、豚の内臓を人間に移植することもできてしまうという人類史上極めて異常な時代に突入している。ゲノミクスの進化で寿命が延び、情報と選択肢が増えるが、生きるということはより複雑化してしまう。自分は耐えられるだろうか。
情報化社会の原材料 ー データ
自分自身、現職でデータマイニング案件に携わっているため、その重要性は理解し、感じています。データの量が格段に上がったのはグーテンベルクが発明した印刷から。印刷業界で生きているので、何だか嬉しく思いますが。そこから色んなメディアが誕生して今に至る。
ビッグデータなんて言葉がここ数年叫ばれてますが、太古からビッグデータは存在してたが、それを使う技術がなかった。それが近年リアルタイムで把握し、分析し、傾向を予測できる技術が発達して、私たちの生活を大きく変えようとしている。
ビッグデータによって精密農業は食料生産量を増やし、環境汚染を減らした。フィンテックによって時代遅れと言われ続けてきた金融業界も大きな変化が生まれる。
世の中はビッグデータでどんどん便利な世の中になるけど、人間はどんどん賢いバカになっていく。アルゴリズムにすべてを委ねた世界では、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見することがなくなっていき、ふとした偶然から幸せを掴むということはなくなるだろう。アメリカの結婚の1/3はオンラインデータからというデータもあるそうです。
これからを生き抜く子供たちには私たちの想像の域を遙かに超えた苦悩や障壁が待っている。
著者はアメリカ人で、日本人のために書いた本ではないですが、日本の労働文化について警鐘を鳴らされてました。
まず、日本は男尊女卑がいまだに強い国であると。中国は毛沢東が推し進めたこともあり、女性への権限は大いにある。国の大きさではなく、ここが現在の国力の差を開かせた一番の要因であると言っています。女性が働かない文化が国力を下げる。子供は祖父母を含めたファミリーみんなで育て上げる。日本は労働時間が長く、家に帰らず、家事や育児をせずに、付き合いだと飲みニケーションを多用する。強固すぎるヒエラルキーも、若い力を押さえ込み、成長の機会損失を生み出している。
このような指摘に対して、現在の行政は動き出しているという印象はありますが、実践しているアジア近隣諸国には既に差をつけられ始めていることは事実として受け入れなければならない状況。
私は経済成長を続けていた1980年に生まれ、その後、バブル崩壊やリーマンショック、東日本大震災などを経て、パラダイムシフトを余儀なくされてきた世代です。自分の子供たちはこれから自分の能力をゲノミクスによって理解させられ、人間よりも何倍も精密なロボットと競争するという全く想像のできない世界で生きていくことになります。
そんな未来を見据えて何を話し、何を伝え、何を共有していけばよいのか、全くわかりませんが、今は、デジタルに屈しない人間力という得体の知れないものにすがり、その力を育んでいくしかないと現時点では思います。