勝川STAND

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大前研一さんに学ぶ『武器としての経済学』

自分のような低学歴だと大前研一さんという存在を知るまでに時間を要す。昨年、楠本修二郎さんの本を読んだとき、大前さんの元で修行をしたという話があった。大前さんはマッキンゼー日本支社長まで登りつめた方で、元部下にはDeNAの南場さんがいる。僕らの世代では記憶が微妙だが、東京都知事選にも出馬経験があるようだが、なぜ大前さんではなく、青島幸男を都民は選んだのか不思議だ。

 

いま特に自分の弱点である経済学を学びたいというニーズがあり、今回はこちらの本を読んだ。

武器としての経済学

武器としての経済学

 

 

もはや、ケインズ的マクロ経済は終わった。

 

 

時代は変わったということを中心に、現在の経済のトレンドを3部構成で25ジャンルに分けて解説している。ヒト・モノ・カネが自由に国境を越え、世界を激変させている。アベノミクスは、100年も前のケインズの理論に基づいたもの。当時と環境は劇的に変わっており、日本は低欲望社会という今までに経験をしたことがない状況である。ケインズ的マクロ経済は終わった。

 
 
低欲望社会では、金利を下げてもニーズがない。現代人は、所有するというコストも煩わしい。戦後は貯蓄戦略を国家として進め、経済成長してきたが、貯めたお金でどのように人生を楽しむかは教わっていない。1990年は約1000兆円、現在は約1800兆円という国民の総預金額。人生とはそもそも何なのかという議論が必要で、マクロ経済政策ではなく、心理経済学こそがいま求められている成長戦略である。待機児童ゼロなど日本で数万人程度の問題を国の骨太方針に出すことはおかしい。必要なことではあるが、効果が出るのに20年待たなければならない政策だ。景気は、フィーリングやサイコロジーで決まる。
 
GDPの引き上げは生産能力を上げることだが、現実的には労働人口を増やすことになる。国民それぞれが自分ひとり当たりのGDPを意識することは良いことだが、生産年齢人口が減っていく中で、GDPを引き上げるという発想は誤り。GDPを上げたいのであれば、これまで頑なに拒否してきた移民受け入れについても、検討せざるを得ない。これは年金問題も関係してくる。現在の年金の仕組みは、現役世代が納入した年金を、年金受給者が受け取る賦課方式である。超高齢化の日本は、ピラミッド型から、肩車型に向かっている。抜本的な改革としては、アメリカのレーガン大統領による、年金受給開始年齢の引き上げと、確定拠出年金から401kに変更したものが挙げられる。恐らく日本は後者の変化は難しいため、受給年齢の引き上げのみという選択になると思われる。そう考えると、最近やたらと目につく「100年時代」というワードは、国主導によるキャンペーンかと思ったりしてしまう。
 
今後、政府が補助金を出すことで、企業は設備投資が進み、AIなどの進歩もあり効率化が進み、その結果、大量の労働者がはじき出される。ホワイトカラーの定型業務型は不要になる。ビジネスパーソンそれぞれが自分の一人当たりGDPを意識するのは大切で、自分にどれほど価値があるのかの問いは、常に持ち続けなければならない。クリエイティブな労働者になり、個人の付加価値、つまり稼ぐ力を伸ばすことで、働く権利が得られる。
 
現代社会は、3年で環境が激変する。これまで正しいと思っていたことだけに固執すると時代に取り残されてしまう。常にトレンドをウォッチし、ナレッジを蓄積していくことが必要。クラウドコンピューティングクラウドソーシング、クラウドファンディングによってヒト・モノ・カネが3つのクラウドで代替できるようになった。そして、今はサービスを創出するには、新たに創造することよりも、空いてるものを提供して活用するアイドルエコノミーがメインストリームになってきている。こういった流れを感じれる体作りを続け、常識に縛られることなく、常に複眼的思考でいることの大切さを子どもたちは伝えていきたい。