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神様コトラーの最終講義『マーケティング4.0』でスマホ時代の究極法則を学ぶ

どの業界においてもレジェンドと呼ばれるような人がいて、マーケティングという文脈においては、間違いなくこのコトラー先生がそれに該当するかと思います(正確にはリビング・レジェンドですが)。マーケティングは、時代によってその手法が大きく異なるわけですが、今回は現代のスマートフォン時代におけるマーケティングの究極法則について書かれているこちらの本を読みました。そこまで小難しく書いてありませんし、モノ・コトを売るひとは、業界問わず読んでおいたほうがいいと思います。

 

コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則

コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則

 

 

いろんな人が言っていますが、みんなの手元にあるスマートフォンの出現によって、僕らの生活は激変し、それによってマーケティングも劇的に変化をする必要性が出た。それはそれで、マーケティングが急激に進化するというこの数年になったことを、コトラー先生は喜んでいます。

 

僕らの生活の変化でよく言われるのが、情報量の変化。どのような調べ方なのか分かりませんが、現代人が一日に得ることができる情報は、平安時代に生きた人の一生分、江戸時代に生きた人の一年分と言われているほどで、もう誰もが受け取った情報の全てを処理することができないレベルになっている。だから、スマニューやグノシー、まとめサイトやキュレーションサイトを自然と求めるようになった。

 

そして、SNSによって人が簡単に繋がるようになり、人々の連鎖や、趣向までもが可視化されるようになった。これまでは、誰と誰が繋がり、誰がどんなものを好むなんてことを知ることができないため、顧客をマスとしてみることしかできなかったが、今は違う。また、情報がスピーディに拡散されることで、情報の非対称性が薄まり、さらには発信力を手に入れることで、売る側と買う側の関係性は対等になりつつある。

 

半世紀以上続いてきたムーアの法則がそろそろ限界に近づいているとも言われますが、ここ数年の技術の革新は目覚ましいものがある。それらの融合によって、シェリング・エコノミー、ナウ・エコノミー、オムニチャネル・インテグレーション、コンテンツ・マーケティング、ソーシャルCRMなどの新しいトレンドが生まれています。また、デジタル領域の拡張によって、ハイテクな世界になればなるほど、人間的な触れ合いも求められるようになり、本書ではそれを「ハイタッチを求める」と表現されていた。この言い方は、なんかアメリカっぽくてカッコイイ表現だなって感じます。

 

生活に接続性と透明性をもたらしたインターネットが、パワーシフトに大きな役割を果たし、マクロレベルの世界の覇権は、多国分散型の権力構造に移行している。新しい製品が新興市場国で開発、発売され、その後他国で販売されるというリバース・イノベーションも目にするようになってきた。顧客や競合の関係性にも変化が現れ、顧客コミュニティやパートナーと繋がって共創したり、競争相手と繋がって協力するほうが、高い競争力を保持できるはずで、縦より横へのイノベーションが世界で活発になってきている。Procter&Gambleは、社内イノベーションの限界を感じ、外部からアイデアを募り、それを社内の能力を使って商品化するコネクト・アンド・ディベロップと呼ばれるモデルに切り替え、成功を収めている。

 

顧客の趣向も、大量に売れるメインストリームよりも、少量のニッチ・ブランドに移行しており、双方をラインナップすることで売り上げ・差益をあげることができるロングテール理論が注目されるようになってきた。また、これまでのように同業界だけに競合がいるというバイアスは捨てて、潜在的な競争相手に気づく必要があって、顧客の目的から出発して、その目的を達成する代替製品は何かと考える。

 

スマホ時代においては、企業の側で必死に頭を使って考え抜いたマーケティング・コミュニケーションよりも、Fファクターが信頼されるということを理解しなければならない。

 

Fファクターとは…
・Friend
・Families
・(Facebook) Fans
・(Twitter) Followers

 

顧客は、日々広告に爆撃され続けた結果、広告を信用しなくなり、Fファクターというこれまでクチコミと言われていたものしか信じないようになった。これからは、ブランドと顧客の関係は、縦ではなく横であり、顧客はブランドではなく仲間、友達と見なされるべき。スマホによって、探求心と知識レベルが向上しても、何を買いたいかは自分でコントロールできなく、これまでも購買における意思決定は、個人の選好だけでなく社会的同調欲求に動かされてきたが、顧客は集合知を利用して、より良い購買決定ができるようになってきた。中でも、デジタルネイティブはインターネットを自在に使いこなしながら、物事を実際に体験することも好み、極めて接続性が高い人種と言える。モバイル・コネクティビティの次のレベルは、経験の接続性であり、顧客とブランドのタッチポイントにおける優れた顧客経験を伝え、ソーシャル・コネクティビティに繋げると予想されており、カスタマージャーニー全体に渡って、オンラインのニュー・ウェーブ・マーケティングと、オフラインのレガシー・マーケティングの両者が共存し、融合する顧客体験を作り上げることが今後重要となる。

 

ブランドに対する態度は、ネットプロモータースコアとして、推奨するプロモーター、中立的なパッシブ、推奨するとは思えないデトラクターの三つに分けられ、言うまでもなくプロモーターとうまく付き合っていくことが、クチコミを味方につけることができる。なかでも、デジタル時代における最も影響力のあるセグメントであるYWNと略される若者(Youth)、女性(Women)、ネティズン(netizen)に注力するのが得策。ほとんどのサブカルチャーはYWNから生まれている。これからyouthは増え続けるが、90%が開発途上国に住むため、ここ日本においてはそのまま受け取ってしまうのは、違うのかもしれない。若者はナウ・ジェネレーションであり、トレンド・セッターであり、ゲーム・チェンジャー。女性はインフォメーション・コレクターであり、ホリスティック・ショッパー(全体を見て判断する買い物客)であり、ハウス・ホールド・マネージャー(家庭管理者)である。ネティズンは、常に繋がって貢献したいソーシャル・コネクターであり、熱烈な伝道師であり、コンテンツ投稿者のこと。

 

マーケティング4.0とは、企業と顧客のオンライン交流とオフライン交流を一体化させるマーケティング・アプローチ。デジタル社会では、顧客はコミュニティの横のネットワークの中で互いに社会的に繋がっている。顧客に何を提供するのか、どのようにして提供するかを計画するマーケティング・ミックスの4Pが最適に設計され、連携がとれていると、顧客はその価値提案に引き寄せられ、販売へと結びつきやすくなり、接続された世界では4Cが必要となる。

 

4Cとは…

Co-creation 共創

Currency 通貨

Communal activation 共同活性化

Conversation カンバセーション

 

顧客との交流のスタートは伝統的なマーケティングから始まり、交流が進み、顧客が企業とより密接な関係を求めるとデジタル・マーケティングが重要となる。スマホによって、移動性と接続性の高まり、話がうますぎる広告メッセージに混乱した顧客は、それらを無視して、信頼できる情報、すなわち友人や家族などの社会集団に頼るようになった。これからのカスタマージャーニーは5Aを通して、Oゾーンの影響に左右される。

 

5Aとは…

A1 Aware 認知→
A2 Appeal 訴求→
A3 Ask 調査→
A4 Action 行動→
A5 Advocate 推奨
 

Oゾーンとは…

Own 自分自身の影響
Others 他者の影響
Outer 外的影響

 

ブランドがどれだけ努力しても、他者の影響の結果を管理したりコントロールすることは難しく、もしできるとしたら、コミュニティ・マーケティングがこれからの唯一の方法。顧客は、マーケティングに影響されることを理解していて、自分の立場を強くするためにコミュニティを形成する。個人的選好、クチコミ、広告によってバイアスをかけられ、それらの影響によって、ブランドの中で一番初めに想起されるトップ・オブ・マインドに成長していく。接続性の最大の利点は、顧客間のカンバセーションによって、認知率を高めるチャンスがあり、レバレッジが効くということ。

 

期待しているときに、実際に経験することとの間に、最適レベルの乖離があるときに最も強い好奇心を抱くもので、このタイミングに魅力的な知識を適量与えることで、好奇心を生み出すコンテンツ・マーケティングというアプローチが、近年は特に使われることが多い。顧客のコミットメントを強化するためのものとして、オムニチャネル・マーケティングがある。そして何よりデジタル時代には、人間らしさのあるブランドが最も魅力的になる。顧客と対等な友人として、インタラクションできるブランドが求められる。経験を重視し、ある種のライフスタイル運動を象徴するブランドにも、顧客は惹きつけられる。英雄的なミッションひ関する素晴らしいストーリーを語ることで、顧客を傾倒させることができる。

 

モノが溢れに溢れているスマホ時代においては、かつてのように顧客を下に見て、みんなに同じタイミングに、同じ内容でアプローチしたところで、期待するような効果は生まれない。スマホによって手に入れた接続性で、顧客同士は繋がり合い、コミュニティを形成することさえも容易になってきている。デジタルデバイスで便利さを手に入れる一方で、逆に、リアルな世界でのハイタッチが貴重な体験となり、人間的性格を持つことが最も差別化され、競争優位に立つために必要なファクターとなった。 伝統的CRMが企業主導であるのに対し、ソーシャルCRMは顧客指導で、自動化は不可能で、社会力学が作用するため、問題を封じ込めたり隔離することはできない。ワオの瞬間は偶然に生まれることはなく、ワオを意図的につくり出し、顧客を認知から推奨へ建設的に導き、顧客とのインタラクションを、喜びから経験へ、さらにエンゲージメントへと、創造的に高めていく。言葉で言うのは簡単で、頭にあっても実践することが難しい。今回学んだことで既に体験としてあったこともあり、それを体系的に学んだことで、より理解を深めることができたと思う。これからも、やれることをやっていこう。

 

コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則

コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則