勝川STAND

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『ポスト平成のキャリア戦略』で「個」としての戦い方を学ぶ

今回も、今の時代を生きるうえで、非常に有益な情報を得れたと思う。News Picks Bookはハズレがない。

 

著者である佐々木さんはNews Picks編集長、塩野さんは経営共創基盤の取締役。以前、塩野さんはLive Picksに登場されており、独特な空気感を漂わせていたため、個人的には大きなインパクトがあり、動画も何度か繰り返し見ていたなか、今回こちらの本が発売となった。

 

ポスト平成のキャリア戦略 (NewsPicks Book)

ポスト平成のキャリア戦略 (NewsPicks Book)

 

 

帯には「君は個として戦えるのか?」とある。一見すると、オラオラ系上から目線自己啓発本とも取れるが、実際には異なる。そもそも、塩野さんの持つ空気感が非常に自然体で、押し付け型ではなく、僕はこう考えるけどお前に判断は任せるという印象もあり、実際に読み進めれば、上から目線的なものは感じない。

 

ポスト平成の前に、いまの平成を戦う上で、自分の知識レベルの向上とともに、老害を実感することが、個人的にここ最近強烈に多くなってきた。明らかに時代遅れの価値観や思想で、今もなお戦おうとしており、それしかできないということなのだろうと思うが、そのような人種が上層に君臨していると思うと、改めて早くこの組織への依存度を低下させねばと思わせてくれる。また、意外にも、このようなことを感じている同僚が少なく、これもまた、自分がレベルアップするために、大きな原動力となってくれる。

 

先日、友人との会話のなかでも、孤独感を感じた。人間の前提として、分かり合えることはないということは最近になってようやく理解をしたが、いま自分と同じ価値観や思想の人間は非常に少ない。確かに、ここ最近は本を読むという習慣がつき、それによって逆にバイアスが効きすぎている感も否めないが、変人というか、理想論というか、お前に言われたくないわとか、そんな風に思われているかなと。自分はマイノリティだと感じることが増えた。とにかく、孤独感をここ最近は強く感じているなか、本書はさらにその孤独感を増長させるような内容であった。それはもちろん良い意味で。

 
世の中のいろいろな定義は時代の変化によって変わり、同様に仕事ができる人の定義も変わった。それぞれの専門がトップクラスで複数の専門性を組み合わせて、新しい付加価値を出せる人材が求められており、キャリアの掛け算によって希少価値を出すということに大きな意味を持つ時代になった。その専門性においては、組織固有スキルを自分の実力と勘違いしてしまう人が多いが、それは誤った理解であり、汎用性は非常に低く、線の外側に出た時、個としては戦いづらい。キャリア戦略を考えるうえで、今後大きなテーマになるのは、個として働けるのかということ。
 
今の日本人は自由過ぎて、選択肢が無限にあるが故に、何をしてよいのか分からず、結果、動かないという自由の刑に処されている。また、日本人が自ら進むべき道を見つけられないのは、自分は何のために生きるのかを考える時間が、人生の中で圧倒的に不足しているし、そのような教育を受ける機会が圧倒的に少ないことも影響している。後者に関しては、行政に任せるのではなく、生きている時代の違いを理解したうえで、親が子に積極的にアプローチしていくことが、今後更に必要不可欠となってくる。哲学が必要だということでもある。
 
これから個として戦うに必要なスタイルとして「ハングリー&ノーブル(貪欲さと高貴さ)」が挙げられていた。最近はワークライフバランスという言葉が頻繁に聞かれるようになったが、貪欲さはその逆とも言える。ハングリーになるには、マイノリティになることも大きな原動力となる。佐々木さんはこの流れの中で、落合陽一さんが提唱するワークアズライフについて触れていた。仕事によって苦しめられていると感じる大きな原因は、仕事とプライベートに垣根を設けていることによるもの。ワークアズライフと考えれば、仕事選びも変わり、マインドセットも変わる。高貴さについては、貪欲であるが故に、どこかで行きすぎた行動があったときに、それを抑えるために重要なファクターになる。どちらも重要で、バランス良く備え持つ必要がある。
 
どこにも安全地帯がなくなっていく時代において、越境者たれるかが、今後更に重要になってくる。線の内側で動いているだけでは、自分という存在が発見されることはない。経済産業省でも言われているようだが、新しい事業が創れる人材=フロンティア人材を各企業は求めている。特にエスタブリッシュメントでは、新しい挑戦を評価する人事制度設計になってないこともあり、それによって多くのチャレンジ童貞が生まれている。また、多くの組織で見られる兵士は一流、将は三流という状況も問題。理想がなく、日常をだらだら生きていて、過去にしがみついているおじさんが世の中を悪くしているが、生きている時代が違い、甘い汁を吸い続けて育ってきたことを考えれば、今の中間管理職が現代にフィットできず、仕事ができないのは必然とも言えるが、かと言って、自分が頑張らないと会社が潰れるという当事者意識をサラリーマンが持つのは難しいし、個人的にはそんな気でやるぐらいなら、独立するほうが得策だと感じている。
 
今の日本は天国。天国のように快適すぎて、リスクを取る意味が分からないという側面もあるが、この天国は、変わりつつある国際秩序の中で運良く成立しているだけで、いつ壊れるか分からないのは明確。年功序列は実は終わってなくて、むしろ今が旬のような状態だが、旬はもう間も無く終わるのも事実。この問題は、太平洋戦争でも、日本軍は年功序列に縛られ、実力主義のアメリカ軍に負けたという反省が全く生きていない。
 
今後、ルールが変わるなかで必要なのは、偏差値やITのスキルよりも、タフネスやレジリエンスが重要である。自分の無力さを知って、根拠のないプライドをリセットして、また立ち直れる強い心がある人間が高みに上がれる。そして、これまでも必要であったが、いろんな人の意見やアドバイスをいったん受け止めて、何でもイエスと言うのではなく、自分に必要なものを咀嚼する能力であるコーチャビリティの必要性が今まで以上に高まる。コーチャブルである人間は、本質的な賢さを持っていて、情報の非対称があるなかで、自分にアドバイスをしてくれる人を本当の意味で利用することができ、コーチャブルでない人間は、成長することを自ら遠ざけている。また、人間は同質性の中にいるだけで弱くなり、一か所にいることが長くなれば、他の場所での適応力がなくなるため、意識的に外の空気に触れることも必要。コミュニティは、いつでもリセット可能であり、自分のなかのロールモデルを見つけ私淑することで、学びを続けることで、同質化されない努力をしていくことも重要だ。
 
問題解決に必要だと思うことをインストールし、自分をアップグレードして、自分の価値観を磨き上げ、それを自分の言葉で語れるようにしていく。社会は比例することだけで構成されているわけではなく、反比例する結果もある。それを理不尽だと腐らずに、自分の信じた進むべき道を突き進む。人生のバランスシートは最後にバランスする。時間があるときに準備しておこう。それまでに実力や信用を貯ためておこう。そうやって地道な準備をしているかで、本当にチャンスが巡ってきたときに結果を出すことができる。しっかりやっていれば、世間や世界が私を見つけてくれる。

 

ポスト平成のキャリア戦略 (NewsPicks Book)

ポスト平成のキャリア戦略 (NewsPicks Book)