勝川STAND

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だいたい良いんじゃないですか?時代の『欲しいの本質』を学ぶ 

 

 日常的にも、欲しいものが何もないと言う人に出会うのは難しくない。ほとんどの事が満たされたこの世界では、とにかくそれが欲しいと思うことが少なくなった。それを筆者は「だいたい、良いんじゃないですか?の時代 」と表現されていて、それが自分のなかで凄くハマって、インサイトに関する体系化された実践知を得ることができるこちらの本を購入した。余談ですが、この「だいたい、良いんじゃないですか?の時代」というコピー、田端慎太郎さんの「オーケー認めよう、広告はもはや嫌われものなのだ」に匹敵するぐらいの破壊力だと個人的に感じました。

 

市場は成熟化し、コモディティ化、陳腐化とネガティブなワードをよく聞くようになった。問題がゴロゴロ転がっている時代は、その問題を解決するだけで結果を得ることができた。問題自体も簡単なもので、その分かりやすい問題に応えていさえすればモノが売れた。その結果、様々な顕在化されていた簡単な問題は解決され、だいたい、良いんじゃないですか?の時代に突入した。

 

インサイトは人を動かす隠れた心理で、消費者が普段意識していない心理、あるいは消費者自身も気付いていない無意識の領域のことで、脳科学的には5%の意識と95%の無意識のことを言う。本人も気づかない不満を解消できる価値を提供することが「だいたい良いんじゃない?」を超えられるイノベーションとなる。お客様の意見を聞いてもモノが売れる時代は、だいたい良くない時代。多くの人は、人に形を見せてもらうまでに、自分は何が欲しいのか分かっていない。インサイトを捉えれば、競争優位に立てるが、ニーズに応えるだけでは競争優位に立つことはできない。ニーズという言葉は既に浮かび上がっているものであり、潜在ニーズなんて言葉は日本語として誤っている。

 

インサイトを明らかにする行為は、意識の下に隠れている無意識にアプローチするということであり、発掘する、探り出すというような作業。フォードは、このように言ったという。

もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。

 

企業が何をしたいかではなく、消費者が求めているものは何かを重視されるようになり、インサイトの重要性が高まり、それと共鳴するかたちでデザイン思考という潮流も勢いを増してきた。先入観にとらわれず、人間がもとめていることとは何かを見出すデザイン思考が注目されているのは、世の中にイノベーションが求められているからとも言える。デザインはアートやグラフィックだけではなく、体験も含まれ、シリコンバレーにおいてはUXデザイナーが重宝されている。

 

自分の関わるブランドやカテゴリーには、他の人も同じ熱量で興味を持っていて、ちゃんと考えてくれていると思いがちだが、そんなことはなく、しっかりと人間を見に行く必要がある。それは、自社の製品や市場から離れて、人間が求めているものを知るということで、アンケートから見えてくるものが真実とは限らない。既成概念の壁を乗り越え、イノベーションを伴うアイデアを創造するには、インサイトから発想するしかない。

 

本書では「だいたい、良いんじゃないですか?の時代 」で、頭ひとつ抜きん出るために必要な理論から、具体的なメソッドを知ることができる。停滞している成熟市場でヒット商品を生み出したいマーケティング、商品開発、事業開発担当者は、目は通しておくべき一冊と感じた。