勝川STAND

勝川STANDは、個人事業主様・フリーランス・小規模店舗経営者様に、無料ツールを使って、撮影から制作までリーズナブルにクリエイティブを提供します。

「九州バカ」村岡浩司さんに学ぶ、世界とつながる地元創生起業論

いま自分のなかで興味があるのが、マーケティング、コミュニティ、地方創生。

 

見事にこの三つの要素が入っている本に出会った。

九州バカ 世界とつながる地元創生起業論

九州バカ 世界とつながる地元創生起業論

 

 

以前から九州エリアの地方創生には興味を惹かれるニュースをよく眼にしていて、本書を見つけたとき、そのような背景を深く知ることができるんじゃないかという期待が高まりました。

 

商店街の発展と市民の購買意欲が重なっていた大量消費の時代が終わり、何をもって活性化と呼ぶのか難しくなってきたけど、他人のせいにして解決できる問題などなく、黙って見過ごすことはできない。ふるさとの定義を広め、地元の魅力を発信するための「ローカルブランド」から、「リージョナルブランド」という思考にシフトしたことが「九州パンケーキ」の開発のスタート。ローカルでも、世界とダイレクトに繋がる可能性を証明したいという意思も強い。

 

地方創生の主語は、東京になっていて、東京から見た地方みたいな図式にも違和感を覚えていたそう。産業を生み出し、県外から外貨を稼ぎ、その利益を地元の活性化のために還元するエコシステムを構築する。地域に必要なのは、雇用ではなく、社会問題の新たな解決方法を提示して実行する人をソーシャル・アントレプレナーの創出。どうしたら地元をもっと楽しくできるだろうと考え、自分の住んでいる土地を徹底的に学び、特徴、強み、魅力、課題を知ることから始める。常に地元志向で考え、地域全体へと意識を拡げて行動しながら、グローバルで勝てる強みを見つけ、一点突破でレバレッジを効かせてビジネスを拡大する。

 

ブランドは発信する側ではなく、受け取る側で醸成されるもの。決して、発信側の理屈でバズることはない。キャラクターをはっきりさせ、差別化を図り、戦略的に発信し続ける。世界の中での地元を意識して、本質的な価値を背骨にした持続可能なブランディングを進める。そこに住む人たちが、当たり前と感じている豊かさを可視化することが地域ブランディングのおもしろさ。豊かさの基準はお金だけじゃない。ブランドは最初から存在するわけではなく、長年をかけて醸成され、理由がある。サービスや売り方の前に、どんなメッセージを伝えたいのか、どんな価値を届けたいのか。HowよりもWillが重要。

 

知らない業界に飛び込むとき、素人であることをネガティブに捉えるのではなく、アドバンテージと考える。業界人はこれまでの流れからの常識をベースに思考するけど、素人にはそのような常識がなく、フラットにものを考えることができる。リスクや責任を、誰かに押し付けるのではなく、すべて自分で引き受けた人だけが、夢を叶えられる。まちづくりをしていると、慣習を重んじる人種を中心に、いろんな人が反対意見を言ってくるもの。

 

食文化は名称の変換を伴いながら社会に浸透し定着することがある。例えば、喫茶店からカフェ、コーヒー牛乳からカフェラテ、ホットケーキからパンケーキ。既存の流通形態から離れたところに新しいマーケットを発見できないと失敗する。少しでも安いものをという価格圧力に長年苦しみ、勇気を持って消費者に正しい価格を問いかけることを避けてきた。

 

豊かさを商業活性化に求める時代は終わり、先人たちから受け継いだ町並みの保存や再生、住民の暮らしや働き方、そして希薄になりつつある地域コミュニティを今一度繋ぎ直す核となる存在の再設定が必要。カフェという存在は経済合理性だけでは価値を測れなく、インフラ・インストラクチャーとしての役割を担う存在であり、コミュニティの最小単位になり得る。

 

 

まちづくりは、巨大な投資の果てにあるモノの完成がもたらす成果物から、生活者が主体となって地域のあり方を考え、関わっていくコトの中で、長い年月をかけて培われていくものへと変わった。これから猛烈な自己責任社会が到来し、更なる都心集中と、個性豊かな地方都市への大移動が進む。そのなかで価値が見えないことは、存在しないことと同義。世代、性別、立場、社会的地位やヒエラルキー、その他、ありとあらゆる背景を突破して、一歩先ではなく、トレンドと革新がほどよくバランスされた半歩先を意識することで、強いブランドが醸成される。過去の興奮は、数年経てばコモディティ化するもの。ベーシックな品質を保ちながら、絶えず次の時代、カルチャーを持ち込み、革新を繰り返すことで、ブランドは強くなり、存在し続けることができる。

 

九州バカ 世界とつながる地元創生起業論

九州バカ 世界とつながる地元創生起業論